「誰だって、必ずどこかで成長したいと思っているはず」——エイベック研究所 瀬川取締役に聞く

コラボレーションをするからこそ「できるだけフェアに」していく

——「七つの力」の中にもありましたが、コラボレーションという部分を前面に出しているのはとても特徴的だと思います。その理由を教えてください。

インターネットならではの仕事をしていきたいと考えた時に、その「双方向性」に目をつけました。双方向性を活かした仕事ということで、我々はコミュニティを扱う領域を選んだわけです。この際に重要なのは、コミュニティの根源となるネットワークを大切にしていくということと、そのネットワークの力をコラボレーションによって価値に変えていくことの2点です。それだけに、我々はコラボレーション力を重視しています。

そもそも「七つの力」自体が、コラボレーションをするために必要な技能なのです。これらの力全ては「コラボレーションをして、成果を出していくための習慣」と言い替えることができます。全体計画も、スケジュール管理も、説明力も、コミュニケーションも、どれもが他人とコラボレーションをするために必要な技能です。

——コラボレーションと言っても、なかなか社員全員が意識するのは難しいかと思います。そういった場合に行っている施策はありますか?

「コラボレーションメソッド」というかたちで、コラボレーションに必要な行動をあらかじめ明文化しています。「リスペクト」「インタレスト」「オープン」「プレゼント」「コミット」。これらの大切なワードを行動指針にして、各ワードをテーマにしたミーティングを行っています。部署ごとに車座になって、年次も部署も関係なく話し合って言葉の意味の理解を深める。そして全体にシェアすべき意見を述べた者には、全社員が集まる会議で本人から発表してもらう。そうする事で、議論の結果を全体へフィードバックしていく。当社ではこのメソッドをすごく大切にしています。

——そういった話し合いが育成とつながっているという感じですね。お話を聞いていると、考え方や習慣など、根本的な部分へ、育成が注力されているように感じました。

根っこの部分に「できるだけ社員への評価をフェアにしたい」という気持ちがあるからではないでしょうか。だからこそ、基礎的な部分の教育に力を入れていますし、評価をしています。例えば一般的な企業だと、たまたま登り調子の案件に関われるかどうかで昇格が左右されるということもあります。でも、それは個人の力のみでなしえた成果ではないと思います。手助けをしてくれた同僚、教えてくれた上司、または協力してくれた他社の方もいるのかもしれない。コラボレーションを旨としている我々としては、そこで成果を独占するような振る舞いは必要とされていないのです。

同社の「コラボレーションメソッド」。これを社員が共有して、手帳に入れている。

次ページ 「成長の痛みを前向きに受け止め、トライアルを続けていく」へ続く

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[マーケティング研究室]
[マーケティング研究室]

時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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