動画視聴346万回『進撃の巨人』×シック・ジャパン、キャンペーンの裏側

講演者

  • 吉沢直大(シック・ジャパン マーケティング本部マーケティング マネジャー)
  • 立石謙介(講談社 ライツ事業局ライツ企画部 部次長)
9月4日、東京国際フォーラムにて開催した宣伝会議「販促・集客メディアフォーラム2014」では、シック・ジャパン×『進撃の巨人』のキャンペーンについて、ブランド側、コンテンツ側の両者が登壇し、講演を行った。ここではその内容を抄録する。
『販促会議』2014年12月号(11月1日発売)では、『進撃の巨人』とタイアップしたキャンペーンの反響、効果を分析する特集を掲載している。

左:吉沢直大氏、右:立石謙介氏

―シック・ジャパンのキャンペーンでは、動画が346万回視聴され、話題になりました。
吉沢:『進撃の巨人』では、人類を襲う巨人に主人公らが立ち向かっていきますが、キャンペーン動画は、巨人はひげを剃って爽快になりたかっただけというパロディにし、シェービング商品の爽快さを伝えました。SNSではポジティブな評価をいただき、売り場の拡大にもつながりました。

立石:この動画は既存のアニメシーンを切り取って構成されていますが、作成には声優さんのスケジュール取りから映像編集を含め、大変な手間がかかります。それでも挑戦し、高いクオリティを保ったからこそ、多くの反響につながったのだと思います。

—『進撃の巨人』の舞台は巨人が人類を捕食する世界。タイアップする側も勇気がいったのでは。

立石:アニメ化前から企業へタイアップ提案をしていましたが、当時は現場の担当者が気に入っても上に通らない。アニメの放映で女性ファンが増え、作品に対するイメージも好転し、企業からの問い合わせも増えました。

吉沢:いわゆるダークファンタジーの作品ですが、そこで巨人が爽快になるというパロディをすることで、ファンに驚きが生まれ、意外性と共にキャンペーンの認知が広がりました。作品が10代後半~30代に圧倒的な人気があることも決め手でした。『進撃の巨人』は特に、ファンがキャラクターに対する強い愛着を持っていると感じます。動画でもキャラクターの魅力が、ファンの関心を引きつけました。

立石:今までの商品タイアップを振り返ると、シンボリックな存在である巨人よりも、リヴァイやエレンのようなキャラクターを起用したほうが、売れ行きは伸びています。人気のキャラクターは圧倒的にリヴァイでした。

吉沢:シックのキャンペーンでもリヴァイ効果がありました。リヴァイのフィギュアが景品の商品を女性がたくさん購入して、カミソリはお父さんや彼氏にプレゼントしていたのです。

立石:グッズ全般を見ても、女性の購入率はかなり高いですね。

─コンテンツ側は、どのような企業と組みたいですか。

立石:コンテンツを大切に扱ってくれる企業です。選定基準は広いつもりです。ただ流行っているから組みたいというところとは、全部お断りしています。予算が少なくても、この企画は面白いとなれば、一緒に盛り上げたいと思っています。

次ページ 「ブランド側は、コンテンツをどのような視点で選んでいますか。」へ続く

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