「テレビを見る理由」「アカウント」の再発明も
TBSテレビ部門、そして日本マイクロソフト部門の最優秀賞を受賞したアイデアは以下の通り。
■「Tana Bota System」(提案チーム:「壁ドンカモン」)
TBSテレビ部門で最優秀賞を受賞した「壁ドンカモン」は、慶應義塾大学4年生の秋山茉由さん・横田旭美さん、早稲田大学4年生の市原美樹さんの3人チーム。長らく言われてきた「若者のテレビ離れ」に注目し、それを解決する「視聴動機の再発明」を試みた。
若者がテレビを見なくなった原因の一つに、番組によって「アタリハズレ」があることを挙げ、それは若者が「番組の面白さ」だけを視聴の動機にしているからこそ感じるものだと指摘。そこで、新しい視聴動機を創出し、若者をテレビに呼び戻すアイデアとして、スマートフォン向けアプリ「Tana Bota System」を提案した。
「絶対○○したい!」というほど強い欲求ではないけれど、無関心というわけではない、人間の中間的な欲求を“あわよくば欲”と定義。同アプリでは、この“あわよくば欲”を刺激したり、叶えたりすることができるのだという。ユーザーは、テレビを見ているときに「あわよくば欲しい」「あわよくば行きたい」と思ったものを見つけ、ストックしていく。そして、アプリ上でのそうしたアクションを見た友人や家族が、例えば誕生日にその商品をプレゼントしてくれたり、一緒に行こうと誘ってくれる。自分の“あわよくば欲”を見つけ、叶えるためにテレビを見るという新しい習慣・視聴動機を創出するアイデアだ。
■「Microsoft Physical Account(MPA)」(提案チーム:「HALO-V」)
「HALO-V」は、慶應義塾大学4年生の原口遼さん・3年生の芹沢圭佑さん、立教大学4年生の渡辺遼太郎さん・篠原響さん、東京女子大学4年生の竹村優里さん、千葉大学4年生の鈴木祐太郎さんの6人チーム。2014年の新成人のSNS利用率が91.2%(マクロミル「2014年 新成人に関する調査」より)であるなど、ソーシャルメディアの普及率の高さに注目した「HALO-V」が考えたのは、「アカウントの再発明」。個人情報に加えて、自身の身体情報も登録する新しいソーシャルアカウント「Microsoft Physical Account(MPA)」を使うことで、オンラインショッピングサイトで簡単にバーチャルフィッティング(試着)のサービスが受けられるというサービスアイデアだ。
若者世代を中心に、ファッション領域でも浸透が進むECサイトだが、
ブランドごとにサイズ規格が異なること、その場で試着ができないことなど、サイズがオンラインショッピングのボトルネックになっていると指摘。この問題を解決することで、ユーザーにとっての利便性が向上し、利用者が増えることでEC事業者のメリットにもつながる。マイクロソフトのエンタープライズサービス、クラウドサービスが、世界的にも厳しいことで知られるEUのプライバシー関連法を高い水準で満たしているとの認定受けたことにも言及、個人情報保護・プライバシーに十分配慮しながらサービスを実現できるのではと話した。
今回審査を務めたのは、ブレークスルーパートナーズの赤羽雄二氏、IDEO Tokyoの石川俊祐氏、HAKUHODO THE DAY CEO/エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの佐藤夏生氏、電通 CDC局クリエーティブ・テクノロジストの菅野薫氏、バスキュールの西村真里子氏、日本マイクロソフト エバンジェリストの春日井良隆氏、TBSテレビ 次世代ビジネス企画室 プロデューサーの中島啓介氏、日本たばこ産業 経営企画部 部長の東信和氏の計8人で、審査基準は次の5点だった。
「アイデア性」:見た人に驚きを与え、全く新しい価値を生み出せているか。
「普遍性」:人の生活や文化を見つめ、インサイトを的確に捉えられた、普遍性のある企画となっているか。
「ブランド課題解決度」:ブランド企業が持つ課題を的確に捉え、解決できているか。
「ブランド理解度」:ブランド企業が持つ、指針、特徴、歴史などを理解した上で、そのブランドが提案すべき企画となっているか。
「実現可能性」:技術的に企画を実行することが可能か。また利益的にそれを実現するだけの価値があるか。
このほか、一次審査を通過した21案の中から決勝レセプション当日に一般観覧者が選ぶ「オーディエンス賞」1チーム、協賛企業8社(アイスタイル、アサツー ディ・ケイ、ガイアックス、シンプレクス、電通、メンバーズ、クルーズ、アイ・エム・ジェイ)のうち6社がそれぞれ選ぶ「協賛企業賞」も選出された。
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