受賞作にみるダイレクトマーケティングの世界標準
そんな栄えある賞であることから、授賞式もテンションが日本の広告賞とはかなり違う。まず、会場がすさまじくデカイ!さらに、会場入り口には送迎用のリムジンがずらりと並び、場内にはレッドカーペットが敷かれている。国際色豊かなドレスアップした招待客がシャンパンを片手に集う姿は、まるでテレビで見るハリウッドセレブリティのパーティーのようである。
そんな中、参加者はフレンチのフルコースを食べ、司会のタレントやDJが次々と賞を発表していく。その度に巻き起こる拍手!ヒューっていう例のアレ!
さて、今年の受賞キャンペーンは、非常にレベルが高いものだった。結論から言うと、世界のダイレクトマーケティングの潮流は、「オムニチャネル(オフラインとオンラインの融合)」というキーワードに集約されると思う。
たとえば、ダイヤモンド賞を受賞した富士ゼロックス(ニュージーランド)の「Wide War One Campaign」は、自社の新製品であるデジタルプリンターを広めるためのキャンペーンだ。まず、URLを記載したDMで顧客を特設サイトに呼び込み、顧客にオリジナルの戦闘機をデザインしてもらう。実際に新製品のデジタルプリンターで木材に印刷し、作成した戦闘機を参加者にプレゼント。そのコンテストも開催し、話題を呼んだ。
また、日本からの受賞でプロフェッショナルサービス部門ゴールド賞・米国郵便局(USPS)賞を受賞したグーグル「AdWords Puzzle Campaign」は、新規顧客獲得を目的としたサービス体験型のDMキャンペーン。鍵つきの箱型DMというユニークな形状、サービスを経験してからでないと開封できないというDMクリエイティブの独自性はもちろん、フォローコールやバナー、Eメールでの特設サイトへの誘導などのクロスメディアで、複層的にターゲットにアプローチした点が評価された。
また、我々、ダイレクトマーケティングゼロが手掛けた立命館アジア太平洋大学の「“絆”プロジェクト 250days」は、国外から日本の大学への学生募集キャンペーンで、受験生本人にはWEB動画やfacebookで、保護者にはDMやイベントでと、オフラインとオンラインをターゲットに合わせて融合させた戦略と、過去最高の出願率の達成という実施効果が評価され、コンシューマープロダクツ部門でブロンズ賞を獲得した。因みに、弊社のもう一つのブロンズ賞受賞キャンペーンである「コンビネクスト」の事例も、4チャネルの融合が評価されている。
さらに、収集したビッグデータを分析するだけではなく、SNSに活用したり、システムを噛ませたりしてリアルタイムの顧客へのアプローチ施策に連携させているという事例が多くあった。
たとえば、コンシューマープロダクツ部門でシルバー賞を受賞した、アルゼンチンの「Coca-Cola FM」は、ラジオを現代の若者のスタイルに合う新しいメディアに生まれ変わらせた。若者のコミュニケーションツールである音楽を基軸に、番組内で彼らのメッセージや写真を、SNSを通じてリアルタイムに発信できる仕組みを構築。ティーンエイジャーから多くの反響を得た。