米国におけるダイレクトマーケティングの最新テクノロジー——DMA国際エコー賞現地レポート【後篇】

今後のダイレクトマーケティングの展望


他にも、企業が持つ顧客のリストと100種類以上のSNSをリアルタイムでマッチング(SNS上での書き込みや位置情報などから顧客一人ひとりの属性や行動パターンを予測)し、顧客ごとに最適なメッセージング&タイミングでEメールを配信するパーソナライゼーション・ソリューションや、広告のクリエイティブの機能性とその広告の市場価値をリアルタイムで統合して入札価格の最適化をサポートするRTBソリューションの進化形などがイノベーションアワードを受賞していた。

「あらゆるチャネルにあらゆるタイミングで発生するビッグデータをいかにリアルタイムに収集するか?」のみならず、「リアルタイムで収集したビッグデータをいかにリアルタイムで市場にフィードバックするか?」という点に焦点を当てたソリューションが高い評価を得ていた。

このことからもわかるように、今後、シームレスチャネル対応をより高度かつスピーディに実現するためのマーケティング・オートメーションがますます加速していくことは間違いない。それにより、One to Oneコミュニケーションはよりリアルタイムに、よりパーソナルな方向へ向かっていくだろう。

ただ、大切なのは、いかに自動化が進んでもそれを活用・管理するのは「人」であり、その結果に対して責任を取るのもまた「人」であるってことだ。そういう意味では、人の心を動かすことのできる知識と発想、チャレンジ精神が今後のマーケターにますます求められてくるんじゃないかと思う。そして、そこに企業の規模や知名度といった上下関係などまったく存在しない。

今回のサンディエゴでの、「DMAカンファレンス&エキシビジョン」および「エコー賞授賞式」は、世界のダイレクトマーケティングのトレンドやそのレベルの高さを肌で感じさせてくれるとともに、私たち、ひいては日本のダイレクトマーケターに、「誇り」と「可能性」という大きな手みやげをくれた。


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田村雅樹
ダイレクトマーケティングゼロ(DM0) 代表取締役

早稲田大学法学部卒。一般社団法人通販エキスパート。日本最大手の通信販売会社「ベネッセコーポレーション」にて、ダイレクトマーケティング・戦略策定マネジメント等、約10年のクリエイティブ・マーケティングキャリア。同社でのNO.1レスポンス率を誇る。その後、大手化粧品通販会社にてCRM事業部長に就任。赤字だった同事業を、抜本改革により、わずか1年で黒字化。2年で300%以上の成長をさせる。2009年独立、通販・EC専門のコンサルティング・企画制作会社として、 100社以上の顧問・コンサルティングを行う。DM大賞では金賞をはじめ通算15部門受賞。著書に『ゼロからはじめる通販アカデミー」(ダイヤモンド社)。講演・寄稿等多数。

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