「『いい映像をつくりたい』という熱量は相手に伝わるものです」——太陽企画 岩井社長に聞く

自分なりの仕事のスタイルを見つけていく

——この仕事に向いているのはどんな人ですか。

基本的なことですが、映像づくりが好きなこと、それから人が好きなことでしょうか。仕事を面白がれるかどうかは重要なことです。そしてもちろん、学校やサークルではないので、「お金を稼ぐ」ことをしっかり考えられなければなりません。

例えば、「TOKYO」というユニットのプロデューサー武井寿幸は、このところ指名が増えて急成長しています。実は昔はかなりやんちゃだったらしいのですが(笑)、「映像がやりたい」と一年発起して美大に入ったという変わった男です。プロデューサーとしての力量や人としての魅力もさることながら、「いい映像をつくりたい」という熱量が相手に伝わるのだと思います。

私自身がプロデューサーのときは全く違うタイプで、クリエイティビティでは勝負できないので「お金がなくて苦しくて厳しい仕事でもやります」と言って、どんな仕事も受けるようにしていました。

プロデューサーひとつを取っても、「これ」という正解はありません。仕事というものは待っていて来るものではない。自分で仕掛けようと考えて生み出し、それを育てていくことで自立できるのではないでしょうか。プランニングディレクション本部のマネージャーはネイリストの資格を持っているのですが、たまに撮影に呼ばれて出演者のネイルを担当したりしています。それぞれが持っている「何か」が、新しい可能性につながっているのです。

——仕事以外で最近関心のあることは。

映像の会社の社長が言うことではないかも知れませんが、ラジオが好きで毎日聴いています。「音声のみの情報」ってスピードがありますよね。送り手が気軽に話している感じがして、対談が面白い。余計なことをぽろっと言ったり。ネットと立体的な展開できそうですし、ラジオの可能性は大きいと感じています。

<取材を終えて>

「CM屋はCMだけをつくっていればいいという時代はすでに終わった」と岩井社長が話すように、クリエイティブについてのより幅広いニーズに応えていくことがどのプロダクションにも共通したテーマと言える。今回のトップ交代で、社長の年齢は14歳若返った。環境変化に柔軟に対応できる体制や風土づくりなど、新体制に期待されることは大きいと言えそうだ。

岩井健二
太陽企画 代表取締役社長兼CEO

1962年生まれ。1985年太陽企画入社。プロダクションマネージャー、プロデューサーとして多くのCM制作にかかわったのち、2002年取締役制作本部長、2013年取締役副社長。2014年7月から現職。

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[マーケティング研究室]
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時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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