商品開発は「ロジック」「センス」「ラブ」で決まる――MTDO田子學氏インタビュー

なぜ作るのか、どのように実現したいかを忘れてしまいがち

私が日本での物づくりにこだわるのは、単なるハードウェアだけに留まらないクリエイティブ全般に関するクオリティを担保した正確な物づくりが可能だからです。予算や利益だけで考えれば、中国やアジアで製造する方が早くて安いのかもしれません。しかし、前述した違う観点や創造する価値を持って生産拠点としての日本をもう一度見直すことも実は大切であると思うのです。

加えて、商品開発でよくある問題は3カ月後、6カ月後といったローンチの期限が最初に定められていることです。期限が決まっているので研究開発や実験が十分にできず、できる範囲の物しか作ろうとしなくなります。本来は、なぜ作るのか、どのように実現したいのかを考え、すべきことを大切にしなければならないのですが、そこを忘れてしまいがちなのではと感じています。

03 鳴海製陶

OSORO食器だけでなく加熱調理器具や保存容器としても使える実用性と、高級洋食器並みの薄さや光沢といった意匠性を兼ね備えたオリジナル食器ブランド。ひとつで何役もこなす、こうしたコンセプトが高く評価され、想定以上の売れ行きを見せるとともに、国内外のトップのデザイン賞の最高位を多数受賞した。

田子 學(たご・まなぶ)
エムテド代表取締役/アートディレクター、デザイナー、慶應義塾大学大学院SDM研究科特任教授。東芝デザインセンター、リアル・フリートを経て、エムテドを起業。幅広い産業分野のデザインマネジメントに従事。デザインを社会システムとして活用することをモットーに、統合的戦略によってコンセプトメイクからブランドの確立までデザインしている。

注釈
ブレーン12月号58~60pに一部誤りがございました。こちらが正しい記事となります。
田子様をはじめ、関係各位に多大なご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。

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