米ウォルマート、米国一の繁忙日「ブラックフライデー」を延長

米国小売伝統の繁忙日に変化が訪れそうだ。米小売大手のウォルマートは12日、年末商戦のピーク、11月第4木曜日「サンクスギビングデー」と、翌金曜日「ブラックフライデー」に合わせて実施してきたセールを、今年は11月27日から12月1日までの5日間に延長すると発表した。

2013年の「ブラックフライデー」の様子(米ウォルマート提供)。

この両日は米小売業界にとって1年で最も売上が高まる販売のチャンスだが、消費者の価値観やライフスタイルの変化で、購買にバラつきが見え始めている。全米小売業協会(NRF)の調べによると、2013年11月28日から12月1日の4日間は、値下げ攻勢の負荷と、同時期よりも早く買い物を始めた消費者の増加によって、買い物客の消費金額が平均407.02ドルと前年比3.9%減。年末までの休暇シーズン総計では前年比3.8%増の6018億ドルに達したが、前述の4日間の累計は前年比2.9%減の574億ドルと押し下がった。

Eコマースの成長も実店舗にとっては脅威となる。そのピークは12月1日月曜日の「サイバーマンデー」。NRFは今年、11~12月のEコマース売上は前年同期比で8~11%伸び、最大1050億ドルとなる試算も発表している。また、深夜中商品を買うための行列を作るのを、消費者がおっくうに思うようにもなってきているという。

こうした中、米ウォルマートは、セール期間を5日間に延長。各日で異なる商品を割引にし、消費者の買い増しを狙う。目当ての商品を買ったあとも買い回りを促そうと、「1時間保証チケット」や「人気商品購入者用リストバンド」などの施策も行う。チケットは1時間指定の列に並んで商品代金を支払えば、セール終了後のクリスマスまでにその商品が受け取れるというもの。リストバンドは、混雑が予想される商品のために事前に配布。指定時間中に購入できるのはバンド着用者だけで、商品はセール時間が終わってからでもピックアップできる。

期間を伸ばしたり、来場者整理の施策は、来店者の安全を守るためでもある。実際、バラつきが起き始めているとはいえ、「サンクスギビングデー」「ブラックフライデー」は店頭が騒乱状態となる。2013年は、割安の商品を奪い合った結果、ウォルマート店内で負傷者が出る事件も起きた。

全米小売業協会(NRF)は、米国の2014年末商戦の小売の売上高が前年比4.1%増の6169億円に達する見込みとしている。

関連記事
「日米における流通小売業の販促テーマの捉え方 ブラック・フライデー?」


「ウォルマート」に関連する記事はこちら
「Eコマース」に関連する記事はこちら

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事