広告で世の中を動かすことが難しい時代に必要なこと——POOL小西利行さんに聞きに行く

体験した感動の総量が多いものが生き残る

須田:こうした一連の施策は、短期的な話題集めとは違うと思う。人のこころに届くということでは同じに見えるけれど、芸のための芸は見透かされてしまう。はなまるうどんも、あのクーポンの施策一回だけだと見逃されるかもしれないけど、最近も野菜を使ったうどんを売り出すときに、レタスを一個丸ごとサンプリングしていたり、面白い企画を継続してやっている。だから、消費者のなかに「はなまるうどん」への一つの価値観ができていて受け入れられる。さっきのイオンレイクタウンのエコも突然持ってきたんではなくて、イオンがずっと木を植える活動をしていたベースがあって表現できている。一瞬だけ有名になろうと話題をつくっても、見抜かれて叩かれるだけ。

小西:むかし須田さんが「コミュニケーションには感動が重要だ」と言っていて、本当にその通りだと思った。みんなドライだから、少しでもお得を求めるけど、最後には「これは、いいなあ」という感情がベースにならないと行動できない。今後は、体験した感動の総量が多い企業や商品だけが生き残るようになると思う。その意味では、Facebookだったり、新しいコミュニケーションのプラットフォームがデジタル上でたくさん生まれてきて、そこでの感動の総量が、広告が過去から積み上げてきた量よりも大きくなっている。そうすると相対的に広告が弱くなっていく。

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須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)
須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)

1967年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1992年より博報堂制作局にてCMプランナー/コピーライターとして8年間勤務。ACC賞、日経広告賞、消費者のためになった広告コンクール金賞など受賞多数。1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブコンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年より2年間Yahoo!Japanに勤務し、初代Y Chat MCとして「インターネット市民集会 with 鳩山由起夫」など数多くのライブチャットイベントを企画実行。
2002年より2012年まで10年間、サイバーエージェントに勤務し、同社のブランドをアメーバに一新する。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。
勤務のかたわら日経ビジネスオンラインにて「Web2.0(笑)の広告学」を連載。2012年4月よりFacebookJapanに勤務。
著書に『次世代広告進化論』『次世代広告テクノロジー』『時代はブログる!』など。

須田伸(フェイスブック執行役員 マーケティング本部長)

1967年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1992年より博報堂制作局にてCMプランナー/コピーライターとして8年間勤務。ACC賞、日経広告賞、消費者のためになった広告コンクール金賞など受賞多数。1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブコンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年より2年間Yahoo!Japanに勤務し、初代Y Chat MCとして「インターネット市民集会 with 鳩山由起夫」など数多くのライブチャットイベントを企画実行。
2002年より2012年まで10年間、サイバーエージェントに勤務し、同社のブランドをアメーバに一新する。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。
勤務のかたわら日経ビジネスオンラインにて「Web2.0(笑)の広告学」を連載。2012年4月よりFacebookJapanに勤務。
著書に『次世代広告進化論』『次世代広告テクノロジー』『時代はブログる!』など。

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