違うということが価値になる
小西:最近、「ぞうぼうしパオ」という絵本を出しました。「ぞう」の「しょうぼうし」の「ぞうぼうし」のパオが活躍する話。だじゃれなんだけど、ぞうは鼻が長いことが個性。違うということがハンデやストレスになることはあるけれど、それを乗り越えたら価値になるということを伝えたかった。そういうことを小さい頃に伝えられたら、8歳や10歳ぐらいで少し大きくなったときに頑張れるだろうと思った。アイデアが思いついて、twitter上で絵本のアイデアが思い浮かんだので、誰か描かないと呼びかけたら、3秒後にアートディレクターの水口克夫さんから連絡がきて実現した。
須田:この絵本を読んで、Facebook社内の価値観と共通していているなと思った。それは、強みにフォーカスしなさいということ。Facebookはサイエンスを取り入れながら人事を行うんだけれど、人は苦手なことを改善するよりも、強みにフォーカスした方が生産性や会社に対する貢献度が大きくなるというデータがある。絵本を見て、僕も最初はだじゃれかあと思ったんだけれど(笑)、人と違うところを強みにするというのがいい話だなあと思った。広告もあれやこれや言うよりも一つの強みにフォーカスした方がいい。
小西:日本人は自分で強みを発見するのが下手だよね。よくあるのが海外を通して日本を知ること。テニスの錦織や野球のイチローだって、海外で活躍して、やっぱりすごかったんだってなる。サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」もモンドセレクションのビール部門で日本初の「最高金賞」を受賞して一気にヒットした。海外を通じて良さを知るって、日本ならではの特殊性だと思う。
須田:海外のFacebook社員もみんな日本に行きたがっていて、その機会を探している。相撲をみて、築地でマグロの競りを見て、渋谷のスクランブル交差点にいくと「ニューヨークのタイムズスクエアよりもクールだ」って言って写真を撮る。日本人がそういう違いをポジティブに捉えられれば、少し元気のない国内の空気も変わると思う。
小西:Facebookというワールドワイドのなかにいるから、日本の特質がよりクリアに見えるんでしょうね。広告も同じで、マインドセットを少しプラスに変えるだけで、コミュニケーションの仕方も大きく変わるように思う。
須田:小西さんと話をすると、小手先のテクニック論ではなくて、骨太なコミュニケーションの根幹の話ができるので、本当に楽しいし、刺激を受けるし、勉強になります。単なる2カ月のキャンペーン期間だけの化粧ではなく、その企業やブランドが持っている永続的な価値に光を当ててコミュニケーションを考える。今こそ、あらためて大切にしなければならない姿勢だと思いました。
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