話を講義に戻します。当日、商品コピーに書くべき要素の選び方や並べ方などについて説明した後、「力まずに、話すようなつもりで文章をつなげてください」と告げました。そして1時間ほどかけて、自分で書いたコピーをリライトしてもらいました。すると、どうでしょう! たくさんあったはずの「ポエム」は、一つ残らず見事にリアリティーのある「説得コピー」に変わっていました。
今回の演習では、「ですます調」でリライトすることを強制しませんでした。それは、書き始める時のモードスイッチを入切する要領さえつかめれば、実はどちらの調子でも書けるようになるからです。案の定、最初に「イメージコピー」として仕上げた人たちは、短い期間に同じ商品のイメージコピーと直販コピーの両方を「である」で書いたことで、その性質の違いをはっきりと認識できたようです。「である調」でも、しっかりと具体的な内容になっていました。正直、とても同じ人の文章とは思えないような変わりっぷりに(僕は半年もかかったのに…)、受講生の皆さんのコピー力が、確実にワンランク上がった瞬間を見た気がしました。
最後に付け加えると、イメージコピーも商品コピーも、「どのように」言うかよりも「何を」言うかが肝心だという点は一緒です。イメージコピーは一度に「たくさんの人」に語るように書くのに対して、直販コピーは「あなただけ」に語りかけることが大事という点で、ちょっとアウトプットの方法が違うだけです。つまり、書く際のモードが制御できるようになれば、両方のコピーを同じレベルで書き分けられるはずなのです。ただ、イメージコピーには「型」がない分、上達の手がかりをつかむのが難しい。その点、直販コピーには、書き方の「コツ」や、売るための「セオリー」があるので、それさえ覚えてしまえば目に見える形で上達します。直販コピーのノウハウを体得していけば、鏡を見るように、イメージコピーの書き方もわかってくるはずです。
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