不動産・住宅情報サイト「HOME’S」を運営するネクストの技術研究・開発部門「リッテルラボラトリーユニット(リッテルラボ)」は、カヤックと共同で、“新しい住まいさがし体験”をコンセプトとしたデモプロダクト「すごい天秤」を開発した。
2011年4月に発足したリッテルラボは、同社グループの次世代サービスを創出するための研究開発に取り組んでおり、膨大なデータの中から最適な情報を提示する検索技術や、潜在的なニーズを抽出して情報提供するためのレコメンデーション・エンジンの研究開発を最重要課題としている。これまでに、現地に行かずに物件内覧ができる「RoomVR」、iBeaconを使った不動産店舗へのO2Oの実験、視覚障がい者向け住まい探しアプリ「HOME’Sアクセシビリティ対応版」、理想の住まいを探せる診断アプリ「ホームズくんのこれからシアター」などの開発を行ってきた。
「すごい天秤」は、最新テクノロジーを用いて、既存の不動産検索サイトやアプリでは体験することのできない、全く新しい住まい探し体験を提供するプロダクト。11月23~24日に東京ビックサイトで開催されたDIYの展示会「Maker Faire Tokyo 2014」において、ネクストの出展ブース内で公開された(公開は23日のみ)。
住みたいエリアの駅名を入力し、天秤の片方に家賃の予算額に模した分銅を、もう片方に「1LDK」「ルームシェア」「駅近」など希望条件に模した分銅を置くと、天秤が分銅内に埋め込まれたRFIDタグ(非接触型小型ICタグ)を検知して物件の検索を開始。希望条件を満たした物件があれば天秤が釣り合い、なければ天秤が傾く。また対象物件が20件以上ある時も傾き、その場合は条件を追加して、より希望に近い物件を絞り込んでいく。検出された物件は、古地図風にデザインされたGoogleマップに表示され、ユーザーはヴィンテージ風の用紙に物件情報を印刷して持ち帰ることができた。
今回のプロジェクトにはカヤックのほか、ロボットクリエイターの松村礼央氏(karakuri products)や精密板金加工を手掛ける海内工業、市民のものづくりネットワークの一つ FabLab Shibuyaが開発パートナーとして参加。カヤックが企画、アプリケーション開発、天秤の筐体設計・デザインを、松村氏が天秤ロボティクス設計・製造、3Dプリントを、海内工業が金属加工のアドバイザーを、そしてFabLab Shibuyaが木部加工とモックアップ制作協力をそれぞれ手掛けた。
ネクストは同イベントにおいて、「すごい天秤」のほかにも、「Tangible UI Property Search」「GRID VRICK」の2つのデモプロダクトを公開した。「Tangible UI Property Search」は、PCやスマホの操作が苦手な人でも直感的な操作で物件検索ができるタンジブル・デバイス(手や身体で触れることのできる物体で、操作できるものの総称)。家賃、間取りをはじめとする希望条件が書かれたカードを専用ボードに置くと、カードの条件を満たした物件がタッチディスプレイの地図上に表示され、詳細情報を手元のiPadで確認することができる。
また「GRID VRICK」は、「レゴ(R)」などのブロックを組み合わせて間取りを作ると、部屋の3Dイメージがディスプレイ上に出現するというもの。部屋だけでなく、机やベッドなど、家具に見立てたブロックを配置することも可能で、バーチャルリアリティ用ヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を装着すると、実際にその空間に入ったかのような体験をすることもできる。
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