スマホとソーシャルが、すべてのメディアを映像に導く

みなさん、はじめまして。境 治(さかいおさむ)と申します。今回から映像コミュニケーションの現状と未来をテーマに、連載を始めることになりました。よろしくお願いします。

まず自己紹介をさせてください。
私は87年に広告代理店アイアンドエス(現在のI&S BBDO)に入社しコピーライターになりました。92年に日本テレビ・巨人戦広告「巨人を観ずに、めしが食えるか」でTCC新人賞をいただき、93年からはフリーランスとなってコピーライターとして、クリエイティブディレクターとして、広告制作に携わってきました。ありとあらゆる仕事をやりましたが、新人賞がテレビの仕事だったこともあり、テレビドラマや映画の仕事も数多く手がけました。

2006年には縁があって映像制作会社ロボットに入り、なぜか経営企画室長になりました。ロボットは映画・CMからケータイコンテンツまで幅広く映像制作をしている会社です。私はそこで、映画製作にいくら出資して興行収入がどうなったらいくらのリターンになるとか、多様な制作事業を部門別にPLつくったらこう分解できるとか、「映像制作を数字で因数分解する」ための、あらゆることをやりました。

2011年からの2年間はビデオプロモーションという会社にいました。分類すると広告代理店なのですが、大手代理店のテレビ企画部門みたいなことをやっていて、番組を企画してスポンサーに提案して成立したら提供枠をもつ、というやり方の会社です。これも、広告枠としてのテレビ番組に関わる、という特殊な経験になりました。

ロボットにいた2008年から、「クリエイティブビジネス論」のタイトルでブログを書きはじめました。その頃から、いよいよネットがテレビビジネスに強く影響する時代が来る!という危機感で、映像制作、ひいてはコンテンツ制作に携わる者が今後、何をどう考えていけばいいか、ヒントにしてもらうつもりで書きはじめました。ロボットの社員や、自分の知っている人たちに向けて書いていたつもりですが、ある時から読者がえらく増えました。Twitterのせいというかおかげでした。数十人のアクセスだったのが、数千人来るようになりました。最初は戸惑いましたが、開き直って自分でもTwitterをはじめ、読者とコミュニケーションするようになりました。

そこから、『テレビは生き残れるのか』という本を出したり、勉強会やセミナーイベントを催したり、テレビ局から呼ばれて社内レクチャーめいたことをやったり、コンサルタント的な仕事も増えてきました。いつの間にか、テレビを軸にメディアが今後どうなるかを語る人になっていたのです。最近はブログがハフィントンポストやBLOGOSに転載され、また違う読者が増えた感じです。それに合わせてブログの題材も広がりました。

ソーシャルメディアの時代になって面白いなと思うのが、ある領域で情報発信をしていると、情報の方から集まってくることです。勉強会を定期的に開催していることもあって、どんどん“この方面に詳しい人”になってきました。その結果がこの連載のお話にもつながったわけです。私に起こった一連の出来事も、メディアの新しい状況が生み出した現象だと思います。

次ページ 「メディア激変の核になるのは映像」へ続く

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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