余計な要素をそぎ落とし、メッセージの核心を削り出す
simpleshowの解説動画は「手」が物語を進行していく。そのひとつひとつの手の動きには意味がある。例えば、指さされたものを見てしまうのは人間の本能で注意喚起に効果的だ。表現したい意味合いによってより効果的な方向から切り抜いたイラストを引き出し、手を車のワイパーのようにスワイプさせて話題を変えていく。こうした手の動きで脳にリズミカルにメッセージを伝えていくことができ、3分程度の時間でも飽きさせることなく見せることができるのだ。
動画の基本形は白黒のイラストを使った文字通りシンプルなものだ。吉田氏は「解説動画はナレーションがスムーズに伝わることが重要なので、視覚情報を極力減らすためになるべく色は使わない」と話す。ただし、顧客の要望に応じてコーポレートカラーを取り入れたり、フルカラーで制作したり、あるいは実写との組み合わせで制作することもできる。
商品やサービスを紹介するWebサイトは多いが、その商品やサービスが自分にどのようなメリットを与えてくれるのか、見ている人に伝わらなければ一方的な情報発信で終わってしまう。それはプレゼンでも同じ。simpleshowは、そうした心理的な障壁を取り去り、見ている人に共感を呼び、動機づけするノウハウを持つ。「ポイントは脚本を組み立てて物語として見せること」と吉田氏。脚本は顧客との脚本会議で練っていく。顧客が出した情報から余計なものをそぎ落とし、メッセージの核心を削り出す作業を、顧客とキャッチボールしながら詰めていく。最も気を配るのは導入部分だ。
名古屋市にある「徳川美術館」の外国人向け観光誘致の解説動画を例に説明しよう。
動画には日本への旅行を考えているベイカー・ファミリーが登場する。サムライ好きの息子に、読書好きの妻、グルメを楽しみたい主人公ダニエルと、家族の希望はてんでバラバラで「どこに行けばいいのかわからない」とナレーションはダニエルの気持ちを代弁する。困っているダニエルのところに日本のトクさんから「ならば徳川美術館がいいよ。みんな満足できるものがあるよ」とメールが来て、徳川美術館の観光スポットを説明し始める……。
simpleshowでは、トクさんが登場するまでの導入部分を、時間をかけて説明している。「きちんと状況説明することで、動画を見ている人がダニエルに感情移入して、物語を自分ごととして見るようになります。『旅行計画の苦悩ってあるよね〜』と感情移入して見ていると、旅行の予定がなかった人でも、ダニエルに同情してしまいますし、最終的には、徳川美術館に行ってみたいと思うようになるでしょう」と吉田氏は説明する。
物語は見る人がそれぞれの立場で解釈しながら見るものだ。「徳川美術館を紹介する解説動画を美術館の職員が見れば、自分たちの美術館の特徴を再認識できますし、リクルーティング活動にも使うことができます」。
クロージングまでの過程をショートカット
親しみやすいイラストと物語は多国籍展開もしやすい。例えば、海外展開している企業のマネジメント層が文化や教育レベルが異なる現地スタッフと意思疎通を図らなければならない場合でも、英語ではなく現地の言葉で語られる物語形式のコミュニケーションビデオなら理解も進むはずだ。
営業プレゼンでも同じことが言える。タブレットやノートPCで解説動画を活用して物語で見せれば、忙しくて時間が無い顧客でも開始早々商品に共感しやすくなる。それからカタログを使って詳しく説明すれば訴求効果も上がるだろう。「クロージングまでの時間も一気に短縮できます。ユーザーの中には2日間短縮できたという人もいた」という。
simpleshowの用途は幅広い。広報や営業販促など社外向けの情報発信はもちろん、社内規定の変更通知、Eラーニング、取り扱い説明書の解説、新入社員向けメッセージなど、これまで社内イントラにテキストをアップして行ってきた情報共有が、海外では解説動画に次々と置き換わっているという。
simpleshow Japanでは、東大病院の依頼で放射線に関する解説動画も制作している。「もちろん我が社に放射線の専門家はいません。専門家が整理できないことをわかりやすく整理する。我々はシンプル化するマイスターのような存在です。だから、どんなに難解なトピックでも取り扱うことができるのです」。simpleshowのような解説動画は、今後様々なプレゼンテーションやコミュニケーションの場で広がっていきそうだ。
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