「映像の作り方」を変えていく

映画の「組」のような制作体制

同社最大の強みは、企画から納品まで社内で一貫制作できるところにある。

一般的な映像制作会社は演出、カメラマン、撮影機材、ポスプロなどを外注しているが、それでは映像のプロであるべき制作会社にノウハウが残らない。これはプロダクションの構造的な問題だと和田さんは感じていた。

02 Panasonic LUMIX G6「 Feel Awed」 03 GREE「ソチ五輪日本代表応援ムービー」 04 劇場用映画「アバター」 05 Canon EOS 7D Mark Ⅱ EOSmovie 「Cello」 06 シャープ「AQUOS WEB ムービー」 07 フジテレビドラマ「厄束」

02 Panasonic LUMIX G6「 Feel Awed」
03 GREE「ソチ五輪日本代表応援ムービー」
04 劇場用映画「アバター」
05 Canon EOS 7D Mark Ⅱ EOSmovie
「Cello」
06 シャープ「AQUOS WEB ムービー」
07 フジテレビドラマ「厄束」

同社は昔の映画の「組」のような制作体制を目指しており、同じスタッフで制作を行うことでノウハウが蓄積され、今回より次、次よりその次と能力が更新され、高いパフォーマンスが継続できるチームを構築している。

たとえば、コンテもコンテ会社に発注せずに自社でつくり、CGも作れる編集部や、所有機材を熟知した撮影部が在籍している。

また、4Kカメラをはじめとする高精細の撮影機材を自社で持ち、録音機材や照明機材も導入している。

ひとつの案件が決まると、納品から逆算し、プロデューサー、演出、カメラマン、助手、制作、エディターらでチームを組成する。その全員が1フロアに集っているため、企画段階でエディターからアイデアが出たり、オフライン編集に対してカメラマンから意見が出たりと、全員が制作工程を共有する環境が自然と整っている。

制作部、撮影部、編集部の各部がデスクを並べ、毎日顔をあわせ、課題などについて話しあっているため、各案件の制作をよりシームレスに行うことができる。

たとえば、キヤノンのデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D markⅡ」のプロモーションムービーでもエルロイの制作体制の強みが生かされている。

チェリストと、特殊メイクを施した3人のダンサーが出演する「セロ弾きのゴーシュ」をモチーフにした幻想的な映像で、作品の世界観を守りつつ、新型カメラのオートフォーカス機能の能力を描くことにこだわった。

企画段階でカメラマンがコンテに対して、レンズの特性などから逆算したアイデアを盛り込み、担当エディターが撮影現場に立ち会い映像の繋がりを計算することで、編集の精度を上げた。

4K映像での制作を得意としているのも同社の強みだ。4K撮影の先駆けであるRED EPICを所有し、4Kでの映像制作を日常的に行っているため編集機材も完備、ワークフローも成熟している。

「最高の映像を作るために、最高の環境を用意し、最高の映像制作チームになることを目標に、日々映像制作を行っていきます」(和田さん)。

人材育成がチームの根本であるという同社の理念は、日本の映像制作のカタチを変える礎となるだろう。

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