「コミュニケーション未来2020」はADKと宣伝会議の共催により、開催したイベントだ。なぜ今回2020年に焦点を当て、未来予測をテーマにフォーラムを企画したのか。本フォーラムのメインセッションである、10の注目分野(医療、IT、飲料、自動車、環境エネルギー、ゲーム&トイ、コンテンツ、不動産、旅行レジャー)を研究する、ADKの「カテゴリーチーム」による4つのセッションを前に、ADKのストラテジックプランニング本部長・森永賢治氏と宣伝会議の谷口優が登壇し、その狙いについてプレゼンテーションした。
ジワジワと減っていく日本の成長エナジー
冒頭で森永氏は、2020年に日本の起こる3つの大きな変化を紹介した。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、日本全体が華やぐ時であると同時に、その足元では人口動態の変化、エネルギー問題をはじめとする自然環境問題など、必ずしも未来予測は明るい側面だけとは限らないのが現状だ。
その変化のひとつが、2020年を境に東京の人口が減少に転じるということ。日本全体は2010年に減少を始め、地方は現在も減り続けている。この流れが東京にも到達し、日本全体で人口が減少していく時代に入る。
2つ目は世帯の数も減少に転じるということ。その構成比も、2000年頃から増加していた単身世帯が2020年には圧倒的多数を占めるようになると予測されている。企業としては、夫婦と子供といった世帯単位で商品やサービスを作っていた発想の転換が求められるようになる。
最後は、人口の年齢構成で、2020年には65歳以上の人口が全体の3割を超えること。日本全体の人口が減り、中でも65歳以下の人口が減っていくことは国の成長エナジーがジワジワと低下してくことにつながる。
森永氏は「このジワジワいうところが問題で、急激な変化には危機感も働き、対策にも力が入るが、ゆるやかに変化にはそれが働きにくい。誰もが気づかないうちに成長エナジーが低下することになってしまいかねない」と指摘する。
こうした人口減少時代を迎える日本で成長を支えるのが個の力であり、それを高めることが新しい時代を作ることになるという認識が今回「個」に着目した理由だと解説した。