検索データの地域特性と、季節イベント後の「リメイク」需要

検索データから見える1月、2月のイベントMD施策

1月のランキング1位の七草粥は、塩味が一般的ではあるが、味気がないということからか「中華」「白だし」「鶏ガラ」といった調味料名も組み合わせて検索されている。2位にランクインしている「本命」は2月のバレンタインに向けた検索ワードだが、1月に検索のピークがあるという情報はバレンタインの売り場提案にも有用だろう。

2月はバレンタインに関連したお菓子がキーワードの上位を占める。日本記念日協会によればバレンタイン市場は1500億円程度の規模であり食関連イベントとしては最大で、クックパッドへのアクセス者数も2月にピークを迎える。バレンタインの時期にはお菓子関連だけでなく、「夕食・ディナー」といった単語の検索も急上昇しており食卓提案にも商機があると言える。

2月の季節指数が1位となった「福豆」は節分後の2月4日にアクセスピークを迎えている。組み合わせ検索語の上位は「ご飯」「リメイク」だが、バレンタインにそのまま活用しようとしていると思われる「チョコレート」と組み合わせた検索も上位となっている。イベント後に検索が増えるのは、1月の「揚げ餅」「餅ピザ」がランクインしているのと同様の傾向といえる。

イベント関連の提案は、イベント前だけでなく美味しい食べきり提案も、自社製品の利用機会向上のヒントとなるだろう。

たべみるデータ概要/集計対象:クックパッドにユーザー登録をしている人の検索キーワード/データ期間:2009年1月1日~前日

データを理解するうえでの用語解説

季節指数: SI値の年間平均を100とした、集計期間における値。
掲載ランキングデータのように季節感を把握する際に利用できる。

Case Study

加工食品のメニュー提案への活用

埼玉県を地盤とする食生活提案型スーパーマーケット「ヤオコー」では、クックパッドの提供する電子チラシサービス「特売情報」や「たべみる」をミールソリューション強化への活用に取り組んでいる。

同社の営業戦略担当部長は「“たべみる”にはPOSデータと違い、単品の売上実績だけでなく、検索ワードのデータから、食材が実際にどのような調理方法、メニューで食べられているのかがリアルに把握でき、販売計画作成時、特売商品販促投入時に『仮説』を持って立案できる」と話す。

取り組みの一つが、2013年よりライフコーポレーションと共同で開発しているPBブランド「スターセレクト」の「カニカマ」の販売だ。

これまで「カニカマ」は、きゅうりとあわせた酢の物やサラダといったメニュー提案を中心とした夏の商品として捉えていた。しかし「たべみる」データから夏以外でも一定の検索があることや、「お弁当」と組み合わせて検索されることが想定以上に多いことが分かった。

本原稿の執筆時点では店頭展開は準備中とのことだが、本誌が発売されるまでには店頭でこの発見を生かした「カニカマ」の新たなメニュー提案が展開されているだろう。

※マッチ度カニカマの検索回数を分母として、組み合わせて検索された割合をパーセントであらわしたもの。例えば、「カニカマ×お弁当」のマッチ度が9.8という場合は「カニカマ」が検索されるうち9.8%は「お弁当」が組み合わせて検索されているという意味。

中村耕史(クックパッド トレンド調査室 ディレクター)
大手市場調査/システム会社にて、リサーチ・コンサルティングサービスを提供。クックパッドに入社後、事業部門での社内アンケートシステムのリプレイスや施策の効果測定業務を経て、経営管理部にてデータ可視化・活用の推進を担当。

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