中性的な感覚を大事にする
世界に向けWeb 中継にて一斉発信された新型車FCV(燃料電池自動車)発表においても、限りある制作期間においてどの手段が映像クオリティを出せるのか、またどういったカメラワークが商品の魅力を引き出せるのかを突き詰めた。
レンダリングミスが許されない時間枠の中で必要最小限のフレーム数を使い、未だ見ぬ実車両を表現力と厚みのある映像表現をすることは容易ではない中、これまでの経験を活かし、CGとリアルを熟知した上で、未知の映像を作り出した。
CG制作で常に意識している点について川鍋さんはこう語る。
「女性がいいという映像と男性がいいという映像。その両方に響く中性的な感覚を大事にしています。二つ目は好奇心を持つことです。普段誰もがスルーしてしまう情報にこそ、新しい視点が生まれると思うので貪欲になんでも吸収しています。三つ目は、新車発表の映像でも目指しましたが、小さいときに見た映像が大人になっても覚えているような、一生記憶に残る映像をつくりたいですね」。
川鍋さんは記憶に残る映像をつくると同時に、記憶に残る会社にもしたいという。
去年までは下請けとして影に隠れていたが、ようやく表舞台に立つことができた。大手プロダクションに負けないクオリティの高い品質を担保して、前へと進む考えだ。
「スタッフが毎日気持ちよく仕事ができるよう、全員で協力しあい、会社の規模を大きくしていきたい。また同業者とも協働、連盟して仕事の幅を広げていきたい」(川鍋さん)。同社は12月に事務所を拡張移転、今後は地方への拠点や海外展開を視野に新たな映像表現の道を模索している。