広告営業に未来はあるのか?
田端:僕は高校生の頃からの「高城フォロワー」で、今も高城さんのメルマガを欠かさずチェックしています。そんな憧れの方に、今日は「テレビ」の話からうかがおうと思ってきました。高城さん、今の日本の閉塞感ってテレビがダメだからなんでしょうか?
高城:僕は、テレビは日本そのものだと思う。テレビが日本の空気をつくっていて、日本の衰退とテレビ産業の衰退は完全にシンクロしている。僕はもう15年くらい持ってないです。
田端:では、会場の皆さんに聞いてみましょうか。最近面白いと思うテレビ局は?…なるほど、「見ない」か「見るとしたらNHK」なんですね。今、連続テレビ小説「マッサン」効果で、ニッカのウイスキーがめちゃくちゃ売れているみたいですね。
高城:それって、信じられないことだよね。ヨーロッパではハードリカーの広告をテレビや公共の場ですることは禁止されていますから。イギリスでいえばBBCみたいな放送局がウイスキーのドラマをすることに驚きます。世界的な風潮からは、10年後には日本でも、タバコ同様ハードリカーの広告はできなくなると思いますよ。
田端:でも、日本のテレビ局の中でNHKは面白いし、ネット対応もダントツに進んでいると僕も思います。で、NHKになくて民放にあるものは何か? それは「広告営業」です。デジタル投資でも何でも、民放は何か新しいことをしようとすると、広告営業が“抵抗勢力”になって「それで視聴率が下がったらどうするんだ!」と反対するからできないのかなと思ったんです。
高城:広告営業って、つまり枠の話でしょ? でも、もう媒体や枠は崩壊しつつあるわけじゃない?アメリカでは40歳以下の60%はもうIPテレビです。テレビの前の人に個別に広告が打てるわけです。同じ時間にテレビの前に座って国民が同じ広告を見ているって、それ昭和のフレームですよ。これから日本もテレビのIP化が進んで、リアルタイムのビッティングが行われるようになると思います。
田端:人間がメディアプランの線を引かなくなるということですか?
高城:世界はそっちの方向に行っていますね。
田端:僕は株が趣味なんですが、株の世界で起きたことは、広告ビジネスでもやがて起こると思っています。株式の世界ではトレーディングのシステム化が進んで、証券会社の人間が営業に行くことはめっきり減りました。広告営業マンもいなくなるんでしょうか。
高城:オリンピックみたいなビッグイベントにはやっぱり必要だから、少しは残るでしょう。でも、日常的に流れる番組は全部ロボット化すると思います。ただ多くのクライアントが欲しがるターゲットの枠は確実に高値で取引されるだろうから、広告会社にとっての問題は、その新しい時代の枠を持てるかどうかでしょうね。