【特別座談会】コンプレックスを力に変える仕事術〜電通の若手プランナーによる楽しい仕事の創り方、紹介します。〜(後編)

違う業界にいる同世代への羨望とどうつきあうか

西井:せっかくなので、会場の方から質問を受けましょうか。質問に答えつつ、今後の野望をからませて。

質問者A:他の会社で働く同世代に対して、コンプレックスを感じています。皆さんはそういう意識はあるのでしょうか。

小島:僕が社内ベンチャーを始めたのはまさにそれが理由で、同世代でベンチャー企業をやっている人たちの飲み会に行って、ウェブ系の横文字とか知識を植え付けられて、「やばい」と思ったのがきっかけでした。

彼らがすごく先に行っているような感じがして。転職か、社内ベンチャーかみたいな二択で後者を選びました。

入社8年目になった今になって考えると、ベンチャー企業論、大企業論ということもまたコンプレックスを刺激する角度でもあるのかなと思っています。

廣田:社内にベンチャー気質を持った人はたくさんいます。ただ、組織が大きくて、形にできていないという問題はあるかもしれませんね。

西井:大手の企業には、事業家的な気質の人が少ないという問題があるかもしれません。大企業に所属していたら個人でリスクを背負って、何かを始めようという気持ちにはなかなかなりづらいと思いますから。

廣田:転職してきた僕から見ると、会社によってカルチャーが全然違うと思っています。それぞれプライドを持っている場所の違いが出ているな、と。そういうことを気づけたという意味で転職してよかったと思っています。

これからの野望というか、希望で言うと、NHK時代にドキュメンタリーを撮りたいと思っていたとき、当時の師匠から、確か哲学者のシモーヌ・ヴェイユの言葉と一緒に、「表現をするのは人を励ますためだ」と言われたんですね。実は、そういう気持ちは今も僕の中にあります。

電通では、苦しんでいる人とか悩んでいる人を少しでも励ましたい、そういう仕事がしたいと思っています。

小島:私は、クリエーティブにコンプレックスを感じていると話しましたけど、一方でクリエーティブな人たちをとても尊敬していて、自分よりすごいと感じる部分を持っている人は、その分野で正当に評価されてほしいと思って仕事をしています。

自分の角を落として丸くなっていく世界ではなく、それぞれが違うベクトルで尖っている人が集まって丸い世界を作りたいと思っています。

コンプレックスを早めに消化してそれぞれの人が本当にやりたい、楽しいと思っていることが絶対に価値のあることだと思っているので、その方向に頑張れる世の中を作っていきたいです。

西井:私は今の教育制度に問題があると思っていて、自分の進むべき道に気づくターニングポイントは早ければ早いほど良いんですけど、その時期がどんどん遅くなっていると感じています。

それで「とりあえず大学」、「とりあえずサークル」という行動につながって大学の進学率が上がり、サークルの所属率も10年前に60%を割っていたものが今は70%くらいになっています。そんな「とりあえず」の環境を作っていることに疑問を感じています。

そういう意識が働くのはクリエーティビティーとイマジネーションというふたつの「そうぞうりょく」が下がっているからで、その能力を上げることができる民間の教育にチャレンジしたいと思っていて、そこにつながらない仕事をできるだけ減らそうと動いています。

ギャルラボとワカモン以外で部署として所属している「未来創造グループ」では「未来につながるかどうか」を基準に成果評価をしています。お金を稼げるかだけではなく、未来を作れたかどうかが仕事の評価の対象です。

未来というのは若者が作るものだと思っているので、今関わっている部やプロジェクトを通して、若い世代のクリエーティビティーやイマジネーションの下地になればいいなと思って仕事をしています。

小島:というようなことを東洋大学で「ジブンと社会をつなぐ教室」として講義させていただいて、その内容をまとめた『なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。』という本が発売されるので、良かったら買ってください。

最後、無理矢理宣伝にしましたね(笑)本日は、ありがとうございました。

※本対談記事のダイジェスト版を「ウェブ電通報」でも掲載。


小島雄一郎 氏
電通 プロモーション・デザイン局 アクティベーション・プランナー 
1983年生まれ。プロモーション・プランナーとして企画立案を担当する傍ら、若者研究部(電通ワカモン) の研究員として2012年に大学向けキャリア支援講座「ジブンと社会をつなぐ教室」、2013年に大学サークル向けウェブサービス「CircleApp(サークルアップ)」などの新規事業を立ち上げ。著書に『広告のやりかたで就活をやってみた』(宣伝会議)。

西井美保子 氏
電通 ビジネスクリエーションセンター ストラテジック・プランナー 
1986年生まれ。ギャルのマインドを調査する「電通ギャルラボ」と、10〜20代の若者を対象にしたプロジェクト「若者研究部(電通ワカモン)」の立ち上げに参画。女性向け・若者向け商品を中心に商品開発、リサーチ・プランニングまで幅広く担当し、さまざまな雑誌でコラム等も執筆している。著書に「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP社)。

【「電通 廣田さんの対談」連載バックナンバー】
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