寄稿や連載の依頼が舞い込む中で“来る者拒まず”
もともと講演などの依頼は多く、こちらは逆に得意分野であったので積極的に取り組んでいたのだが、そのような模様(かつては講演に上がるとブログにその場で投稿を必ずしていた)をブログに上げていると今度は寄稿や執筆の依頼が来るようになった。自分は楽観主義的で基本的に運がいいと思っているところがあるので、あまり、仕事の依頼は昔から断らないタイプであるのでどんどん受けていった。
今考えると、それに振り回されていた元日本コカ・コーラ広報のS氏は大変だったと思うが、ブログでつけた自信をベースに色々なチャレンジをしていった結果、日経デジタルマーケティングのコラムや書籍の出版の話まで舞い込んでくるようになったのである。字が汚く、箇条書きの作文しか書けなかった自分であるが、自然とコンプレックスを克服し今では「得意分野」としているつもりである。
文章を書くときは頭の中で構成を箇条書きにし、肉付けしてゆくという手法を自然と取っているのだと感じている。箇条書きは論理的思考の表れであると自分ではいいように解釈している。(写真は『コカ・コーラパークが挑戦する エコシステムマーケティング』江端浩人・本荘修二著、ファーストプレス社、2009年11月発行)
思い出に残る記事は「“おせち事件”はなぜ起こったのか」
こうして連載を続けていく中で、ついに私のジャーナリスト魂を覚醒させてくれた事件が2011年の元旦に起こった。いわゆる“おせち事件”だった。正月に届いたおせちが消費者の期待と全く違う見栄えであり、実際には内容物も違ったという事件だ。
このとき筆者は遅めの正月休みでハワイに滞在していた。ニュースを知って、「ついに懸念していたことが起こったしまった」というのが率直な感想だった。というのも、この時期に筆者は結構多くの関連記事を書いており、業界をウォッチしていたのであるが、若干バブルの感もあり、金の力に誘われて色々な人が参入し、危ない匂いがしていたのである。
また、マスコミの報道も非難一方で原因に関する解説も少なく、ややもするとインターネットビジネスやマーケティングが否定されてしまうという恐れがあったと記憶している。そこで予定していたレジャーをキャンセルし、初めて泊まった憧れのハレクラニホテルのプールサイドにパソコンを持ちこみ、まだ正月休みであった編集部に掛け合って前倒して掲載いただいた記事であった(「前払いクーポン割引サービス」で“おせち事件”はなぜ起こったのか)。家族には事情を説明し、記事の“リツイート”や“いいね!”を見せて納得してもらった記憶がある。独自の観点をタイムリーに世の中に提供できた事例として大きなやりがいを感じた一件であった。