本田:企業の人たちは皆、真面目だし、よく勉強している。それはそれで悪くないのだけれど、知識を身に付けるだけでなく、これからの時代、その仕事を当事者として自分自身が面白がれるかが大事な気がします。例えば、ソーシャルメディアを仕事で使おうと思うなら、自分の生活の中でソーシャルメディアをエンジョイできる人でないと、これからマーケターとしてはかなり厳しいと思います。「ライフ」と「ワーク」を分けようとする意識ではないほうがいいですよね。
嶋:自分の場合、どこからがプライベートなのかまったくわかりません。
本田:ライフとワークが完全に溶け合うくらいじゃないと、コミュニケーションの仕事は続かないですよね。
田端:でも、僕たちがこうして話すことは、ある種の「べき論」であって、「じゃあ最初の一歩は何から始めたらいいんですか?」と疑問を抱かれるのもよくわかります。
本田:メディアやコミュニケーションの環境が変わったなら、まずは自分が一ユーザーとして新しいサービスをどんどん使ってみることから始めたらいいんじゃないでしょうか。そして、使いながら広告・宣伝の観点でちょっと実験をしてみるとか。
田端:それで言うとソーシャルメディアは特に、予算がなくとも小規模に始められるので、稟議書を通さなくても、個人の判断で始めて実験できちゃうことも多いですよね…って、結局は最後も、担当者に「ガッツがあるのか?」の話になっちゃいましたけど。
嶋:結局は、当事者意識!これが大事。
嶋 浩一郎(しま・こういちろう)
博報堂ケトル編集者/クリエイティブディレクター
1968年生まれ。93年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局配属。企業の広報・情報戦略に携わる。2001年朝日新聞社に出向。「SEVEN」編集ディレクター。02年~04年博報堂刊「広告」編集長。02年「本屋大賞」を企画。NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないクリエイティブエージェンシー・博報堂ケトルを設立。ネットニュース「赤坂経済新聞」、カルチャー誌「ケトル」の編集も手がける。
谷口マサト(たにぐち・まさと)
LINE 広告事業部 チーフプロデューサー
1972年滋賀生まれ。横浜国立大学の建築学科を卒業後、空手修行のため渡米、主にヌンチャクを学ぶ。空手のテキサス州大会と柔術の大会で優勝した後、96年にいち早くネット業界に入る。制作会社を経て外資系のIT系コンサル会社へ。当時日本で数少ないIA(情報設計)の専門家として、大手コマースサイトのリニューアルを多数担当後、ライブドアへ。現在はLINEにて、企業とのタイアップ広告企画を担当する。一方で、運営する個人サイト「chakuwiki/借力」は累計4億2千万PVでベストブログ・オブ・イヤー賞(エンタメ部門)など受賞多数。サイトから発展した『バカ日本地図』などの書籍を宝島社などから6冊出版している。近著は『広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門』(宣伝会議)。
田端信太郎(たばた・しんたろう)
LINE 上級執行役員 法人ビジネス担当
1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。リクルートにてフリーマガジン「R25」の立ち上げを行う。2005年、ライブドアに入社。ライブドアニュースの責任者を経て執行役員メディア事業部長となり、ライブドアのメディア事業の再生をリード。
2012年、NHN Japan(現・LINE)執行役員に就任。広告事業部門を統括。2014年、上級執行役員 法人ビジネス担当に就任。主な著書は、本田氏との共著である『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』の他、『MEDIA MAKERS-社会が動く「影響力」の正体』(宣伝会議)がある。
本田哲也(ほんだ・てつや)
ブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長
1970年生まれ。戦略PRプランナー。米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。セガ、フライシュマン・ヒラード日本法人を経て、2006年グループ内起業でブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。国内外の大手メーカーなどを中心に、戦略PRの実績多数。戦略PR関連の講演実績多数。主な著書は『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(共著)、『その1人が30万人を動かす!』『 戦略PR 実践編 』『最新 戦略PR 入門編 』がある。