変革のためには予算の1割でも新しいことに使うこと
——データドリブンなデジタルマーケティングの重要性がうたわれながらも、なかなか縦割りの組織を崩せないということが日本ではよく言われています。「どうやったらトップに重要性を理解してもらえるんだ」という悩みをマーケティング担当者から聞くことが多いのですが、先んじている企業はどういった手段でそこを乗り越えてきたのでしょうか?
先ほど話したパートナー企業に求められること同様、やはり大事なのは、新しいものをテストして使ってみて、それを実証して成果を出すということであり、それが組織の変化につながっていくと考えています。例えば、従来のマーケティング費用があった場合に、そのうちの10パーセントは「何か実験的なものに使う」ということを決めておいて、残りの90パーセントをこれまでのやり方に使う……そういったことが必要になると思います。
若い人たちに対して特に言いたいのは、「あきらめるな、ギブアップするな」ということです。年長のマネジメント層にどんどん訴えかけていくべきです。こういった若い方たちこそ、組織を変革していく人物になっていくと思いますので、そこであきらめてはいけません。
——今回はデジタルの話が中心でしたが、リアルとデジタルの両方のユーザー体験を考える立場の方にとって、今後はどういうスキルや考え方が必要なのでしょうか?
CMOになるような人には、今後はテクノロジーのバックグラウンドを持つべきだと考えています。新しいマーケティングの世界では、マーケティングの知識に加えて、テクノロジーの知識も併せ持たないといけないでしょう。もし、そういったテクノロジーのバックグラウンドがあれば、生活者に対する問いかけの仕方が違ってくるでしょうし、ターゲティングの仕方も違ってくるでしょうし、アクセスするやり方自体も変わってきます。問題に対するアプローチも変わってくるでしょうね。ブランディングのスキルに加えてテクノロジーのバックグラウンドがあれば、まさに鬼に金棒です。
Bob Lord
AOL Platforms CEO
AOL PlatformsのグローバルCEOとして、Advertising.com、AdLearn Open Platform、Adap.tv、ADTECH、MARKETPLACE、Pictelaを統括し、業界最高峰の広告、およびテクノロジー部門を指揮する。デジタルマーケティング部門の先駆者であり、米レイザーフィッシュの元CEO。TEDコミュニティの推進でもある。
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