テレビがテレビの枠を超えはじめた。そこでは、新しい視聴計測が必要になる。

日本でもケンケンガクガクの議論が必要

ひるがえって、日本の業界はどうなのでしょう。上の表の左端の枠だけでやってます。その上、ライブ視聴だけでタイムシフト視聴分はカウントできてません。単純にもったいないし、比べちゃうと遅れ過ぎな気がします。

もちろん、日本でもすでにタイムシフト視聴のデータも出せる状態です。早く使おう、という声も多いでしょうね。でもどうやら、いろんなところからいろんなご意見が飛んで進んでいないようです。当然、短期的に見ると「タイムシフトは困るよ」という人もいるでしょう。でも長期的には、絶対タイムシフト視聴もカウントすべきです。さっきのUSニールセン社の表を見たら、そんなちっぽけなことにこだわってる場合ですか、と言いたくなります。

タイムシフト視聴をカウントし、ネットで番組を配信しその計測もするようになると、テレビの価値が大きく広がるはずです。いまよりも若者の視聴が数字に出てくるでしょう。それは、今までどうしても高年齢層を意識せざるをえなかった番組を作る側にとっても、そして広告主にとっても、何より視聴者にとってもいいことじゃないでしょうか。

アメリカでのC3導入も、録画視聴の価値を認めてほしいテレビ局と、CM枠にしかお金を出したくないスポンサー側とで、議論を重ねた末の合意というか妥協というかによって成立したそうです。ニールセンがその間に入って話がまとまった。日本でも、そういう本気の議論が必要なタイミングなのだと思います。


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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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