顧客エンゲージメントの強化とより良い顧客体験の提供
根幹にあるのはマーケの本質
2014年のマーケティング界で最も注目された概念は、オムニチャネルと言っても過言ではないだろう。今やマーケティング関係者のみならず、一般紙やビジネス誌でも大きく取り上げられ、産業界からも大きな期待を寄せられている。
編集部の取材の中でも、顧客接点を担うマーケティング部門に、経営層から、その実現が指示され、今まさに頭を悩ませているという声も聞くようになった。
オムニチャネルを実現する上では、インターフェース部分だけでなく、バックエンドの顧客や商品データベースの統合、さらに何よりも企業内のチャネル別に縦割りになった組織の融合など、大きなハードルが多数存在し、マーケターを悩ませる要因となっている。
宣伝会議ではこうした課題に応えるため、日本でオムニチャネルという言葉が浸透する以前からEコマース領域における顧客とのタッチポイントの統合を支援するソリューションを提供してきたハイブリスジャパンの協力を得、マーケティング担当者が参加し、オムニチャネル実現の道筋を考えるラウンドテーブル企画を立ち上げた。
ハイブリスは1997年にドイツ・ミュンヘンの地で設立された後、グローバルで事業を拡大。現在、世界500社以上で導入実績がある。日本法人は2012年に設立された。
8月から開催され、今回で2回目となるラウンドテーブルのテーマは「顧客エンゲージメントの強化、より良い顧客体験の提供」だ。
ややもすると、手段が目的化しかねないオムニチャネル。だからこそ、その実践の最大の目的である「顧客体験の向上」による「顧客エンゲージメント強化」をテーマに企業担当者によるケース発表とディスカッションを行った。
第1回同様にモデレーターを務める多摩大学大学院の山岡隆志客員教授から、約1時間の講演の後、ディノス・セシール、ビームス、ダイアナ、大丸松坂屋百貨店の参加企業4社7名に電通レイザーフィッシュの得丸英俊氏、さらにハイブリスジャパンの堀 裕氏を交えたディスカッションは、約2時間に及んだ。
通常、こうした議論の場では、「組織の壁があって、チャネル横断的な取り組みが実現できない」という課題が出てくることが多い。
しかし、参加企業の1社では組織の壁を超えて、一人ひとりのお客様と向き合う社内の風土があるとの発言から、組織統合の戦略論以上に、一人ひとりの社員の意識をどう変えていくかの重要性が指摘された。オムニチャネルをどう実現するかという表面的な話に留まらず、そもそも今、企業はお客様とどう向き合うべきかという本質論にまで議論が至った。
参加企業からも「メディア・情報環境が変わっているからこそ、マーケティングも本質論に向かっていると感じた」との感想の声があがった。
山岡教授もラウンドテーブルの最後に「アドボカシー、コンテンツマーケティングなど、マーケティングの様々な概念が登場しているが、突き詰めると、顧客志向というシンプルな考え方に集約される。今、時代がそういう方向に流れているし、オムニチャネルが注目される背景も根幹にあるのは、顧客志向。今日の参加者はその実践を日々考えている方たちなので、とても深い議論ができた」と議論をまとめた。
次回は12月中旬に開催の予定だ。
ラウンドテーブルおよび開催テーマについてのお問い合せ
ハイブリスジャパン株式会社 マーケティング担当宛
TEL:03-6737-3888
E-mail:marketing_japan@hybris.com