脊髄反射から逃れることで、個性は伸びる
笹木:僕たちのプログラムは、既存の教育とは一線を画する、個性に気づける学びがあるかもしれません。学生時代によりよい自分に出会うために、どうすれば個性が育つと思いますか。
中俣: 子どもの心に火がつく環境を用意するのは大人の仕事だと思っています。今の教育の、5教科をバランスよく平均点を上げる仕組みでは、特定の教科に突出した天才や、そもそも勉強に興味が持てない子には適合しない。でも、そういう多様な学習ニーズに応えるには今の学校だけでは難しい。子どもは空気を読むので、親や周りの「他の子と同じであって欲しい」という願いみたいなものも没個性につながっているように感じます。LITALICOで運営している学習教室の子供たちは、障がいがあるというより、むしろ個性豊かで、楽しくなければ「楽しくない」と言うし、空気なんて全然読んでくれない。でも、自分の興味関心が見つかって、自分なりの学び方がフィットすれば他の子の何倍も集中できる。そういう個性的な子供たちは学校には適応できていないことが多く、他の子と同じに出来ないことを親が恥ずかしいと思ってしまう。
西井:違うことが恥ずかしいということで、没個性につながっていると思いますが、その恥を外すヒントは何かあるんでしょうか。
中俣:外すというよりも生かしてあげることを重視した方がいい。個性を生かすと言いながら、実際は平準化しようというのが人間で、僕らはそう育ってきているから、脊髄反射のようにそういう行動をしてしまっています。まずは、その脊髄反射から逃れないと、子どもは絶対に育ってこないです。
西井:就活のときも企業側が、面接の場で「ここではこう答える」という空気を外す、個性を生かす場を提供してあげるのが重要だということですね。
中俣:成長するかしないかは、こちらが歩み寄らないと見抜けません。就活って学生と企業がイーブンという概念が多いかもしれないですが、そうは言っても企業の方が強い側面もあるので、企業側が歩み寄って行動することは重要だと思います。
西井:本日は興味深いお話、ありがとうございました。
※本対談記事は「ウェブ電通報」でも掲載。
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