売上低迷の百貨店業界の中で奮闘する三越伊勢丹の戦略

講演者

  • 久保田 佳也 氏(三越伊勢丹ホールディングス 経営戦略本部 市場開発部 執行役員)
「宣伝会議サミット/デジタルマーケティング・フォーラム2014」が11月19日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催された。企業内でCMOの役割を担う事業責任者が、生活者と良好な関係を構築するための戦略・方針をテーマに話した講演の一部をレポートとして紹介する。

小売市場全体のマーケットを見ると、2008年から2012年では、百貨店の売上減少率は79%と最も悪い数値になっています。百貨店がこのような状況に陥ったのはなぜか。私は3つの原因があると考えています。

•人口集積地に大規模店を出店し続け、変化しない形態
•商品グループで分けられ、全体最適が図れない縦割りの組織
•旧来のやり方を続けていればいいという業界内の意識

久保田 佳也 氏(三越伊勢丹ホールディングス 経営戦略本部 市場開発部 執行役員)

つまり、売上低迷の原因は前歴踏襲のチャレンジしない風土によって、お客さまのライフスタイルの変化に応じた価値を提供できていないためではないかと考えました。

このような状況を変えるため、まず我々が取り組んだのは、お客さまの動きを捉えることです。これは、3つの視点から考えました。

•海外からお客さまを呼び寄せるインバウンドの考え方
•日本から海外のお客さまに価値を提供するアウトバウンドの考え方
•三越伊勢丹の26の基幹店と今後5年以内に出店予定の160の小型店との間でお客さまを循環させるインサイドバウンドの考え方です。

まず、この考えに基づいて昨年羽田空港にオーダーメイドシャツの店を出店しました。出店前は「羽田空港でそんなものが売れるわけがない」と強く反対する意見も出ましたが、オープンするとオーダーシャツの売行きは良好でした。羽田空港を利用するビジネスマンは忙しくて百貨店までシャツを作りに行けません。いつも利用する空港でシャツが買えるのはありがたいと喜ばれたのです。

こうしたアイデアは旧来の百貨店では生まれません。お客さまのライフスタイルに寄り添い利便性を高めようと考えることで、我々は新しいアイデアをたくさん発見し始めています。

次ページ 「日本の価値を世界に発信」へ続く

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宣伝会議サミット デジタルマーケティング・フォーラム2014
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