世界の面白プロモーションに見る 人を動かすアイデア7選 Vol.01

株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、11月29日にマーケティングに特化した専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。創刊号の記事の一部を、「アドタイ」でも紹介していきます。
詳しくは、本誌をご覧ください。

世界を見渡すと、日本ではあまり見られないような驚きのアイデアで人の心を掴み、行動を喚起したプロモーションが数多くあります。マス広告を打たなくても、人は集まる、モノは動く。そんな事例を紹介します。

いつものATMがキラキラ&ギラギラ仕様に!

オーストラリア・ニュージーランド銀行 「GAYTM」(オーストラリア)

wonderful_atm

ATM画面には「Hello,Gorgeous!」という特別メッセージが表示された。

「GAYTM(ゲイティーエム)」とは、「ゲイ(同性愛者)」と「ATM」をつなげた造語。街中のATMを、LGBT(性的マイノリティ)の象徴であるレインボーカラーやラインストーンをふんだんに使って、“ゲイ仕様”に装飾してしまうというキャンペーンです。

■利用明細書も特別仕様 GAYTMを利用すると、裏面に“cash out and proud(お金と一緒に誇りも引き出そう)”というメッセージが記載された明細書が出てくる。ATM本体だけではなく、細かいところまでゲイ仕様にこだわっている。

■利用明細書も特別仕様
GAYTMを利用すると、裏面に“cash out and proud(お金と一緒に誇りも引き出そう)”というメッセージが記載された明細書が出てくる。ATM本体だけではなく、細かいところまでゲイ仕様にこだわっている。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が、長年にわたってスポンサーを務めるLGBTの祭典「Sydney Gayand Lesbian Mardi Gra(シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ)」の開催期間中に行った企画で、何の変哲もないATMをメディアとして活用することで同イベントを話題化すると共に、LGBTへの理解と支援を訴えました。

キャンペーン期間中にGAYTMを使うと、他行利用手数料が、LGBTを支援するNPO「Twenty 10」に寄付さ
れるという仕組みになっていました。

広告会社のTBWA\Worldwideが手掛けた同キャンペーンは、世界三大広告賞の一つ「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」2014のアウトドア部門でグランプリを受賞しました。

道端でドッキリ!ピザBOXの中から飛び出すのは…?

ジェネラル・ミルズ「Zombie Pizza Prank(ゾンビ・ピザのドッキリ)」(米国)

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バイラルビデオを制作した「Prank vs Prank」は、「Prank(冗談、イタズラ)」の名の通り、「ドッキリ」で人々を驚かすビデオで若者から絶大な人気を誇っている。今回のビデオは公開から半年間で再生回数670万回を数えた。

大手食品メーカーのジェネラル・ミルズは昨秋、主力商品である冷凍ピザ「Tonino’s ニューフレーバー」の発売に合わせて、ミレニアル世代(1982年~2000年生まれの若年層。ミレニアルズとも言う)向けのキャンペーンを展開しました。

道端で「フリー・ピザはいりませんか?」と通りすがりの人に声をかけ、通行人がピザの箱を開けると、中からゾンビのメイクをした女性が飛び出すという古典的なドッキリ企画です。

ドッキリのターゲットとなった人々には、最後に冷凍ピザが無料進呈されました。

この企画の一部始終を収めたムービーは、公開から半年間で再生回数670万回を突破。企画の中に、ジェネラル・ミルズの社名も宣伝文句も一切出てこないのが特徴で、広告されることを嫌う世代に対し、いかに面白い体験を提供して、SNSでシェアしてもらうかを念頭に置いて企画されています。

幼少期からネットやソーシャルメディアに慣れ親しむデジタル世代のミレニアルズに合わせ、YouTubeの人気チャンネル「Prank vs Prank」にビデオの制作を依頼したことが奏功しました。

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