激動の2014年、組織の自浄能力が問われる
2014年は、理化学研究所の小保方晴子氏による不正論文問題、ベネッセコーポレーション情報流出、マクドナルド使用期限切れ鶏肉使用、朝日新聞社「吉田調書」、慰安婦関連記事取り消し、「すき家」従業員過重労働問題など、社内不正やコンプライアンスの懸念が焦点となる事例が山積し、企業の対応の稚拙さが社会問題化した。
また、当事者である企業に自浄能力がないと指摘され、当該企業と利害関係のない構成員によって組織される「第三者委員会」(外部調査委員会等を含む)によって一刀両断にされる事例も多く、あらためて「第三者委員会」の存在意義が確認された年でもあった。
これまで「第三者委員会」の設置理由の背景は、架空取引、粉飾、利益水増し、不適切なファイナンス、役員横領など、企業や役員自身が直接関与していると懸念の持たれる事例がほとんどであったが、2014年においては、事態の発覚後の企業の不適切な対応が問われたり、内部統制上に問題があるとされる事例など、ステークホルダーから厳しく経営陣が糾弾されて第三者委員会が設置される事例が顕著となった。
一方で、気候の変象に伴うゲリラ豪雨による土砂災害、豪雪災害、台風による水害・風災、竜巻などの自然災害は1年を通じて頻度や影響度も顕在化した。
巨大地震の発生の危険性が報道される中、多くの被害者を出した御嶽山の噴火やその後の国内で発生した火山活動は、火山学者の知見の有用性を高め、気象庁の噴火警報の有益性を再認識させた。
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白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
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