志伯健太郎×古田秘馬×戸田宏一郎「新規事業開発に街づくり、上流からアウトプットまで全部手掛ける人のやり方って?」

広告というドメインに捉われず、縦横無尽にプロジェクトメイキングをしていく人の思考法やプロジェクトの進め方とは? 「丸の内朝大学」や「六本木農園」の生みの親である古田秘馬氏、異業種の専門家が集まるクリエイティブブティック「GLIDER」で企業の課題や社会問題の解決に取り組む志伯健太郎氏、デザインやアートディレクションの概念を商品開発や街づくりにも拡張させる電通のアートディレクターの戸田宏一郎氏の3人が、これまでの成果や問題意識を語り合った。

モノゴトの上流からスタートし、アウトプットを目指す

戸田:「モノゴトの全てを設計する」という仰々しいタイトルですが、僕たちは、友人であり仕事仲間。ここ数年、モノゴトを上流から開拓し、アウトプットを目指すスタイルに取り組む中で出会った3人です。これから世に出るホットな事例がいくつも進行中です。

志伯:僕ら3人が全員参加しているのが、今冬開通予定の仙台市地下鉄東西線のプロジェクトです。“みんなでつくる、みんなの地下鉄”をコンセプトに、市民プロデューサーを育成する「WE SCHOOL」や、市民プロデューサーがプロジェクトを実践する「WE STUDIO」、東西線に設置されたデジタルサイネージ「WE TUBE」の3つの柱で、地下鉄を“乗り物以上の存在”にしようと考えています。地下鉄の開業プロモーションを超えた、街づくりへの参画だという意気込みで取り組んでいます。

戸田:ここで、個々人の分野の説明をしましょうか。志伯くんはクリエイティブディレクターで、元はCMプランナー。僕はアートディレクションが専門ですが、最近は仙台地下鉄の仕事のように、広告よりも広域な街づくりや商品開発のクリエイティブディレクションの仕事も増えてきています。

古田:戸田さんには、仙台地下鉄のロゴマークなどグラフィック全般をデザインしてもらっていますが、すごくフレキシブルに取り組みながらも、アウトプットがしっかりしているところが素晴らしい。私は世の中の課題を解決するプロジェクト自体をつくり、世の中に提案していくということをしています。その代表が「丸の内朝大学」。もう9年目を迎える取り組みですが、今でも「朝活」の切り口でメディアにたびたび取り上げられています。私のプロジェクトの基本は、何もつくらない、何も壊さないで、今あるものを全て使いながら、世の中に新しい価値観をつくること。今はいい商品をつくってカッコよく見せるだけでは伝わりません。かといってNPOで地元で一生懸命頑張っているだけでもなかなか伝わらない。クリエイティビティ、仕組みのデザイン、それを伝えるコミュニケーションがそろうことが必要で、それが今日のテーマの「モノゴトの全てを設計する」ということなのかなと思います。

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