キーワード②「テクノロジー」
志伯:僕は「テクノロジー」を選びます。auの「FULL CONTROL TOKYO 驚きを、常識に。」キャンペーンは、auの先進性をアピールし、企業イメージを上げたいというオーダーをいただいて企画したものです。どんなテクノロジーを使えば皆に喜び、驚いてもらえるだろうか?から逆算して映像やキャンペーンを設計しました。まず、スマホを徹底的に研究しました。今のスマホは持っている能力の5%くらいしか使っていない。残りの95%から誰も触れていない機能を見つけようと考えました。着目したのはスマホのリモートコントローラー機能です。電気が通っているものなら何でもコントロールできる機能を使って、スマホで街の灯りをコントロールするテレビCMを流しました。「どうせCGだろう」というネガティブな反応が出ることを見越して、その反応がネットで出たころでイベントを仕掛け、本当にできることを体験させる。そこで驚く参加者の姿をCMで流すという、CMとイベントの無限ループをつくりました。
戸田:視聴者の反応を見越してストーリーを組み立てていったというのが面白い。僕自身も最初はCGだと思ったけど、実写だと分かると、何を見ても本当に見えてきますね。
古田:テクノロジーは何でもできる分、本当に何ができるのか、何を伝えたいのかがすごく試されると感じます。僕自身は、新しいテクノロジーが出るほど、その対極にあるものを常に考える癖があります。農業や、早起きなど、テクノロジーの逆に振れたものの中に真理があるんじゃないかと。メタボ検診によるダイエットブームが起きた時には、「太っていてもいいじゃない」をコンセプトに、太った人のためのライフスタイルマガジン「D30」を立ち上げました。オープン後2時間でヤフーのトップニュースになり、初日に20万アクセス、そして30社以上から協賛の申し込みがありました。世の中が全部一方向に流れていく時ほど、その逆方向に面白いものがある気がしています。
志伯:実際にサイトから派生して何かつくったりしたんですか?
古田:太った人専用車両をつくって、強冷房にして、吊り革広告は全部お肉の広告とか…そんな議論を当時してました。太っていることをまだ認めない、80~100キロの人を「F1層」ならぬ「D1層」と呼ぼうとか…。これ、全くテクノロジーに関係ない話ですね(笑)。