自分が本気で携わった仕事に誰かが本気で応えてくれること
足立:転機になったのはやはり『桐島~』ですか?
松岡:かもしれないですね。映画の中の“沙奈”役で、初めて役作りをしました。これまでは自分に、例えば「優しさ」とか「いじわるさ」を付け加えればよかったんですけど、沙奈のセリフは、自分に言えないことしかなかったんです。気持ちは分からないなと。新たな役作りで分からない感情を克服したことは、私にとっては分岐点でしたね。
足立:その結果、評判もよかったですね。その後、『あまちゃん』があって、一気に露出が増えました。
松岡:『あまちゃん』は国民的人気作品の“風”を感じました。どこにいっても、『あまちゃん』の“入間しおり”ですと言えば分ってもらえますし、こんな世界があるのかと。本当に恩恵しかないので、いつか国民的人気作品に本当の意味で貢献できる人になりたいですね。
足立:十分貢献していましたよ。
松岡:いやいや、まだまだです。
足立:CMも徐々に出られています。
松岡:新しい方々と一つのものを作るということは、ずっとやってきましたし、CMの現場は楽しいですね。
足立:趣味はありますか。
松岡:本や映画、舞台を観るのが好きです。気分転換は「モーニング娘。14」をYouTubeで見ることです。あの歳でそれぞれがキャラを確立しているのは本当にすごいし、楽しそうに踊るところが好きですね。
足立:なるほど。
松岡:あとは、散歩が好きです。一番好きな時間は、夕方の4時から7時くらいの間で、ちょうど色々な家庭でご飯を作っているのが散歩していて分かるんです。
足立:感性が豊かですね。今後、どうなりたいというのはありますか?
松岡:俳優という職業を本筋でやっていきたいです。そのためには、いくつか壁があると思うんです。先生役があって、母親役があり、最後におばあちゃん役ができる俳優になりたいですね。
足立:いいですね。きっとなれると思います。
松岡:お芝居は、人を笑顔にするお仕事なので、人の気持ちを動かしたいです。ある同世代の知人が『桐島~』を見て、行きたい大学に行くために浪人を決めたんです。自分が本気で携わった仕事に、誰かが本気で応えてくれる。それって本当に幸せなことですよね。それと、家庭を持ちたいです。子どもは3人ほしいので、育児休暇を取ってくれる旦那さんがいいですね(笑)。
対談を終えて
一言でいうと、この子の精神年齢は19歳でない。内面がとても深く、素晴らしい女優になります。外見より内面を大切にする。そんな印象を受けました。また、大人びた内面と実年齢のアンバランスさを自分でも少し持て余している印象も受けましたが意外や、上手に演技に活かされていると思いました。(足立)
松岡茉優(まつおか・まゆ)
1995年2月16日。東京都出身。2015年は1月放送のNHK土曜ドラマ『限界集落株式会社』、CX『問題のあるレストラン』、2月公開の映画『リトル・フォレスト 冬・春』、映画『サムライフ』の出演が決定している。その他、バラエティでもMCとして活躍中。
足立茂樹
イー・スピリット 代表取締役
博報堂を経て2000年にキャスティング会社イー・スピリットを設立。社員40名でタレントからオーディション作品まで年間1000本超のキャスティングを行う。
2015年の個人的な目標:クロールで300m泳ぐこと
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