2015年注目のデジタルマーケティングキーワード
オウンドメディアの課題は情報過多と「らしさ」の発信
企業と生活者のコミュニケーション環境が変化し、各企業がこぞって独自の情報発信を始める中、オウンドメディアに対する関心が高まっている。
「以前は、企業にとってもカタログのようなセールスチャネルの一つに過ぎませんでしたが、オムニチャネル時代を迎え、コミュニケーションプラットフォームとして位置付けが捉え直されているように感じています。最近は、オウンドメディアを運用する企業の担当者から『ブランディング』という言葉をよく聞くようになりました。各社がオウンドメディアをユーザーとの継続的な絆づくりに活かそうと取り組みを強化しています」。
そう話すのは、長年、オウンドメディアのコンサルティングを手掛けてきたトライベック・ストラテジー 代表取締役社長 後藤 洋氏だ。
しかし、ブランディングにつながるようなオウンドメディアの構築・運用は容易ではない。その課題は2つあると後藤氏は言う。
「1つは情報量です。日本企業に限らず、多くのオウンドメディアは企業に関するすべての情報をくまなく掲載していますが、情報量が多すぎることで、何を訴求したいのかが分かりません。一人のユーザーが企業のオウンドメディアにアクセスするタイミングは数多くはありません。その貴重な機会を逃さず、最初のタッチポイントで、企業としてのスタンスや商品など、その企業の『らしさ』をどれだけ伝えられるかが重要です」。
これまで広告・宣伝を広告会社に頼ってきた企業の多くは、自ら自社の魅力をアピールすることに慣れていない。製品やサービスごとに事業予算があり、個別に広告会社に発注してきたため、「そもそもどんな企業として見せたいのか」という組織横断的な視点が欠けている場合も多い。
そのため、ユーザーに分かりやすく自社の魅力やメッセージを伝えるために必要な情報の取捨選択ができず、メリハリのないサイトになってしまうのだという。
もう1つの課題は、より根本的だ。
「ユーザーとのイメージのギャップを意識しないままオウンドメディアを作ってしまうと、いくらデザインされた素敵なサイトにしても『らしさ』は伝わりません。この問題に取り組むためには、ユーザーが自分たちのことをどう思っているのか、何を期待してくれているのかを知り、それをオウンドメディアのデザインに活かすことが求められます」。
社員が考える自社の「らしさ」と、消費者が持っているその企業に対するイメージのギャップを解消しない限り、ブランディングにはつながらないと指摘する。
【企画協力】
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