オウンドメディアを軸にコミュニケーションをインテグレート
情報過多とイメージのギャップの課題でポイントになるのは、「ユーザー目線」だ。
企業が伝えたいことをただ伝えるのではなく、いかにユーザーを惹きつけながら「らしさ」を表現し、体感させるのか。後藤氏は、企業にとってオウンドメディアは、企業からユーザーに「見せる」という意識を「魅せる」に変えなければいけないと強調する。
「魅せるオウンドメディア」として例に挙げたのは、エナジードリンクのレッドブルのサイトだ。「レッドブルのサイトは動画コンテンツがたくさんアップされていて企業色を全く感じません。彼らの優れているところは、『自分たちの活動こそが企業アイデンティティである』という点をブランディングの軸とし、レッドブルが何をどう支援しているのかをライブ感あふれるコンテンツで伝えているところです。自分たちがやっていることをユーザー目線でよりよく知ってもらうためのツールとして、コンテンツがあるのです」。
後藤氏は、コンテンツマーケティングの発想がオウンドメディアの価値を高めるのだと続ける。
「あらゆる企業に歴史とこだわりがあり、企業が持つコンテンツをキャッチコピーやビジュアルといったクリエイティブの力によって、どのように魅力的に見せるのかで、オウンドメディアとしての価値が決まるのです」。
また、オウンドメディアで議論になるのはROI(投資対効果)だ。
オウンドメディアに対するブランディングの意識が強くなってきた現在、PVや離脱率、資料請求数以外のどのような指標が求められているのだろうか。
「瞬間的に大勢の人を集めることと、人数は少ないが継続的にサイトに来てもらうことのどちらを求めるのかを考えることが重要です。瞬間的な反応を測る指標や評価も重要ですが、今後、継続的なコミュニケーションが測定できる指標、例えばお客様とのエンゲージメントやロイヤリティを数値化することが、より求められるでしょう」。
こうしたオウンドメディアを取り巻く変化に対し、同社では、2014年11月に社長を交代。第2創業期と位置付ける新体制では、クリエイティブ部門も新たに設立した。
「これまでは、オウンドメディアを通じたコミュニケーションに注力してきましたが、今後は、オウンドメディアを中心にコミュニケーション全体をインテグレート(統合)する事業を本格化させていきます。クリエイティブ部門の設置もその一環であり、ユーザーの心に刺さる、魅せるコミュニケーションに、クリエイティビティは欠かせません。企業の顔であるオウンドメディアが担うべき役割はますます重要になっていくでしょう」。
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