「4A」とは、顧客が感じる4つの価値の視点に立って、マーケティングのあり方を大きく捉え直そうという考え方

CASE STUDY:4Aの実例

1 ルンバ

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©Ekaterina_Minaeva / Shutterstock.com

ルンバ(Roomba)は、アメリカで2002年10月に発売された家庭用ロボット掃除機で、発売後2年間で累計100万台を売上、大成功を収めた製品である。近年は日本市場にも浸透しつつあるので、店頭などで見かけたり、あるいは購入して使用している読者もいるだろう。

シェスとシソディアは、ルンバを成功例として特に取り上げ分析を行っている。ルンバは、次に示すように4Aの枠組みに十分に合致するものであった。

□アクセプタビリティ
ルンバは、ロボット家電による全自動の掃除を可能にし、革新的な方法で床をきれいにしたいという顧客のニーズに明確に合致するものであった。発売後も顧客からの意見や感想に基づき、常に改良が重ねられた。
□アフォーダビリティ
ルンバの発売価格は199ドルであった。これは、殆どの顧客にとって受け入れやすい価格であった。顧客がロボット掃除機という風変わりな新家電に対して支払ってくれる価格という点で申し分なかった。
□アクセシビリティ
ルンバは、発売当初からホーム・デポやシアーズなど全米の数多くの小売店で購入することができた。インターネットによる通販でも簡単に購入できた。
□アウェアネス
メディアが盛んに取り上げたので、ルンバに対するブランド認知と製品理解は発売当初から非常に高かった。

2 セグウェイ

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©Shutterstock

セグウェイ(Segway Human Transporter)は、1人乗りの電動立ち乗りスクーターで2003年4月にアメリカで一般向けに発売が開始されたものである。

セグウェイは、前評判が非常に高く、大きな関心が寄せられたが、販売実績は事前予想には遥かに及ばず、発売2年間でおおよそ6000台が売れただけであった。

シェスとシソディアは、セグウェイの低迷を4Aの枠組みで次のように整理している。

□アクセプタビリティ
セグウェイは、人の移動に対するニーズに全く説得力がない方法で応えようとしていた。そのため、スクーターや自転車、或いは徒歩に取って代わる移動手段には全くならなかった。
□アフォーダビリティ
セグウェイには、最低機種でも3995ドルという価格設定がなされていた。これは、スクーターというより中古自動車の価格帯であった。
□アクセシビリティ
セグウェイには、非常に限られた販売店しかなかった。また、購入者は、数日間の使用訓練を受けることが求められた。
□アウェアネス
メディアが盛んに取り上げたので、セグウェイに対するブランド認知は非常に高かった。しかし、自分で実際に乗ってみる経験なしには、必要な製品知識を得ることは困難であった。

セグウェイには4Aの全ての要素で問題があった。しかし、その後、大型ショッピング・センターや空港の警備といったよりニッチなニーズを満たす乗り物へと再定義され、現在では、4Aの枠組みに合致するものとなっている。

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