社長の「声」を届けるには、リーダーの「つなぎ」が重要
——一方で、自主的に「もっとこういう力をつけてほしい」ことや「こういったことを学んでほしい」と感じる点はどこでしょうか?
「自ら気付く力」を身に付けてほしいですね。例えば、営業の数字がうまく伸びていないとしたら、多くの人は「商品が悪い」など、その理由を外に求めてしまいがちです。そうではなく、まず数字が伸びていないことを自分事として受け止めて、自分に何ができるのかを考えることが大切なのです。まずそれができないと成長が止まってしまいます。“自分にはまだできないことがある。だからこそ、それに取り組めばよい”に気付くことから成長が始まると思っています。そのマインドさえあれば、会社はチャレンジする機会を提供するだけです。
モチベーションについても、「先に目指すものがあるから楽しくなれる」という部分があります。でも、「その楽しさを得るためには自分にはこれが足りない」ということに気付かなければいけません。
——そこに気付くためには、本人の能力はもちろん、先ほどあった「リーダーが部下に伝える力」も必要になってきますね。
そうですね。リーダーも含めた会社マネジメントがうまく機能しないと気付くのが難しいのだと思います。これは組織の大きさにも左右されると思うのですが、規模の小さい会社なら、OJTで直接分かってもらえることが多い。「仕事はこんな風にやらなければいけない」「お客さまのクレームはちゃんとした姿勢で受け止めなければいけない」など、一緒に仕事をしていく中で気付いていけます。でも、組織が大きくなってくると、社長が全体会議などで話をするしか直接伝える機会がないことも出てきます。そうなると若手メンバーが「社長だからそう言えるのであって、現実は違う」と感じてしまうことが生じる。そこを“そうじゃないんだよ”と気付かせるためには、やはりマネジメントが大切だと思います。
——そこでリーダーが「いや、それはこういう意味だよ」とつなげられるかどうかで理解度が大きく変わりますね。
そう思います。そこのつなぎがうまくないと、「上はそう言うけど……」と、相手を評価するかたちになってしまう。でも、相手を評価するというのは、主体が相手にあるのだから「自分ではどうしようもない」のです。だから、「会社が」とか、「営業が」と言い出せば、自分では解決しようがない問題になってしまい、不満がたまる。そうではなく、「自分が何を解決するか」と考えると、その問題は「自分ごと」になり、解決に向けて自分で決めて取り組むことができます。そうなれるかどうかによって成長が大きく違います。