可能性を信じてまず取り組むことがやる気と成長につながる
——前述のビジョンを語る力はもちろん、何か他にも社員の力を伸ばすために行っている取り組みなどはありますか?
制度ではなくて会社の風土として、「新しいことなら上司に隠れてでもやってみる」という雰囲気をつくるように心がけています。また、会社からの施策としては、若手を中心に、積極的に海外出張や社外セミナー・研修等に参加させ、見聞を広げるようにしています。
また、「可能性を信じる」ことの大切さを常々話しています。むしろ、これ以外のことは言っていないというぐらい、私はこの考え方を大事にしています。やはり、人間というのは「絶対にできる」と可能性を信じていないと自分の持てる力を振り絞ることはできません。そして、持てる力を振り絞れないと、夢を実現したり高い目標をクリアしたりすることができなくなってしまいます。たとえ失敗したとしても、可能性を信じて持てる力を振り絞ったのであれば、自身の限界レベルまで力を出し切ったことで、それが成長につながります。自己成長という意味でも、「可能性を信じる」ことは大切だと思います。
一方で、「可能性を信じる」とだけ言っていても、高い目標であればあるほど「そんなこと言われても無理だよね」と感じてしまう人が多いのも事実です。そこで私が併せて言っているのは、「最初はやる気が出なくても、とにかくまずやってみる」ということです。これは科学的にも解明されつつあることなのですが、やる気というのは脳の側坐核という部位からある種の化学物質が分泌されることで感じるものだそうです。そして、この側坐核を活性化させるためには、まず作業を始めることが重要なのです。つまり作業しているうちに気付きが生まれ、やる気が出てくるのです。「とにかくやってみよう」という前向きな気持ちを社員全員が持つようになれば、会社は自ずと活性化され、環境変化に対する強い対応力を持つことができるようになります。そうした考えがあるので、冒頭に述べたように「ビジョンをストーリーとして語り、実際に取り組み始めることで、その実現可能性を確信に変えていく」ことが大事なのです。