+食/EBNがゆるキャラを超える日!ブルーオーシャンの「ご当地トクホ」

Marketing TOPICS:「×ヘルスケア」で広がる市場

いつまでも美しく、いつまでも健康で…。高齢社会の進む日本はヘルスケアビジネスが活況。衣食住のあらゆる企業にとって新事業開拓の可能性が広がる、「×ヘルスケア」発想の最前線を解説します。


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西根英一(マッキャンヘルスコミュニケーションズ CKO/最高知識責任者)
健康・医療・美容のマーケティング戦略とコミュニケーション設計を専門とする。学術研究活動のほか、大学やビジネススクールでの教育機会も多数。千葉商科大学サービス創造学部非常勤講師、「女性起業塾」講師など。東北支援「おらほのラジオ体操」発案者。NPO「防災のことば研究会」副理事長。「EBN推進委員会」立案者(2015年1月、一般社団法人化/EBNという概念を消費者側と企業側に普及啓発することを目的に活動する団体)。

全国で拡大する「ご当地トクホ」

地方経済活性化の救世主「ゆるキャラ」は、どこを見渡しても、あっぷあっぷの飽和状態。全国のゆるキャラが【レッドオーシャン】で海水浴に興じ、レスキューの必要な瀕死のゆるキャラさえいる。

経済活性化をもくろむ地方自治体の、次なる一手は何か? その筆頭株が「ご当地トクホ」である。

“来春、全国各地で【ブルーオーシャン】が海開きし、いい波が打ち寄せるでしょう”。
これはとても確度の高い予報である。

ご当地トクホとは言っても、正確にはトクホではない。トクホのように臨床試験を伴う許認可制でなく、成分・素材・食材が持つ健康機能性の根拠を示す複数の科学的論文の届け出をもって、その飲食料品の健康訴求が叶うというもの。

トクホという制度を見てきた消費者庁の監督のもとに実施される。そんな【食品機能性表示制度】が、来春、解禁されるのだ。

注目すべきは、加工品だけでなく、野菜、果物、魚介類といった生鮮品も、その対象になるということ。つまり、地方経済活性化の次なる救世主は、「ご当地」産や「ご当地」製の飲食料品ということだ。

まさに、日本全国47都道府県、1742市区町村の自治体、そしてローカル企業にとって朗報である。

あらゆる企業にチャンスがある

全国各地に打ち寄せるいい波を見ようとやって来るのは、地元民だけとは限らない。

全国ないしグローバルを商圏とする食品メーカーや素材開発メーカーだって、あるいは流通業や外食業、商社や通信だって、どれくらいのいい波が立っているかを確かめに、やって来るに違いない。

そんないい波に乗って、颯爽と現れるのが、ブルーオーシャンの貴公子【EBN】である。

いい波に乗れるのは、Evidence Based Nutrition(科学的根拠に基づいた栄養摂取、食事管理)を志として経営している企業や団体や自治体。

装いだけを真似た、まやかしの丘サーファーたちは、波に乗れない。波間に戯れる、きらびやかなお嬢様をナンパすることさえ許されない。

さらに、EBNはグッドルッキングなだけに、街中でも羨望の熱い眼差しで見られる。ソーシャルグッドな立ち居振る舞いで、世の中の話題をさらうのだ。

食料品売り場には、特価セールといった価格のものさしだけでなく、EBNというもう一つのものさしを持った消費者が現れ、品定めをする。

どうして今、EBNなのか。その答えは、いたって簡単だ。

世の中は医療費が膨張する中、治療医療から予防医療へと大きくシフトしている。その予防医療のど真ん中にあるのが、食だからだ。

単に安心・安全といった基点を求める食生活に留まらず、さらにプロモーションフォーカスな視点で先を見つめる食生活が世の中ゴトとして推奨されていくことになる。

筆者が名づける、この「ご当地トクホ」をめぐっては、地場産業とローカル企業、さらに医学部や薬学部ないし栄養学部などを持つ地元大学と、相互に連携し合う機会を創出するであろう。

まさに、共創互恵の社会づくりが基盤となるだけに、次世代型の地方経済活性化の救世主としてはもってこいであり、ゆるキャラを超える日もそう遠くない。

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