ジェダイの騎士を目指すか、エンタープライズで旅に出るか、マーケティングの二つの道

未知なものを語るジャーナルという手法

画像提供Shutterstock

これと対照的に旅行記や日誌、書簡というのは時間軸に沿ったその人の体験した世界をつづったものです。得てしてストーリーよりも長くまとまりがないので、内容そのものよりも、誰が書いているのか、何処に行ったことなのかが主題になります。

この日誌形式は、新しいもの、未知なものを語るには向いています。過去の記憶がストーリーとして語られるならば、未来の体験はいわば日誌、ジャーナルとして記述されます。SFで言えばスタートレックのカーク船長の宇宙航海日誌のような感じでしょうか。

ジャーナルという言葉はマーケティング本では見かけませんが、ニュースメディアを筆頭に、新しいもの、未知なものを扱うビジネスでは巷にあふれています。ストーリーと違って得られるメッセージは多様で混沌としていますので、先ほど述べたように、特に誰がという作家性=オーサーシップと、何処へという編集=キュレーション、ナビゲーションが主題です。

いまのマーケティングが直面しているのは、この二つの大きな選択肢ではないかと思います。たとえばP&Gが昨年ソチオリンピックの際に流した「Thank you, Mom」のような広告は、自社が持つストーリーを伝えたものです。一方で、コカコーラが自社のオウンドメディアをコカコーラジャーニーに変えたのは、ジャーナルをメインにしたものです。

ジェダイの騎士を目指すならば、むしろ企業やブランドの過去や歴史を学んで、アナキンのようなダークサイドに落ちずに勝利を目指すような物語を発見し、それを大事にしたブランディングをしていくのか。

それともスタートレックのように自社がまだ開拓していない宇宙航海に可能性を見出しエンタープライズ号に乗って旅立ち、自社なりの視点でイノベーションを起こし、未来へと続くマーケティングの道を切り開くのか。

もちろんどちらが正解という訳ではなく、スターウォーズにしろ、スタートレックにしろ、持続可能な成長を目指す限りでは超大作になることは間違いないでしょう。

あなたならどちらを目指しますか?

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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