90年代:メーカーの役割は小売店のマーケティング目標達成・課題解決の貢献に
90年代に入ると、メーカーは「どのように売り場を構成すれば、そのカテゴリー全体の売上高を上げられるか」といった提案を小売店から求められるようになり、カテゴリーマネジメントの考え方が深く浸透していきます。
そして、製品そのものの魅力よりも、カテゴリーマネジメントの力量差が、自社商品の売り場を確保する決め手になるケースが頻出するに至り、小売店の抱えるカテゴリーの目標・課題に貢献する提案の重要性が増してきたのです。
では、どのようにすれば小売店の抱えるカテゴリーの目標・課題に貢献する提案ができるのでしょうか?
それは、「カテゴリー」とは、「ショッパー視点で捉えた、同じ需要を満たす商品群・商品分野を、小売業の目標や戦略に基づいて設定する」という考え方に立ち戻ればはっきりしてきます。
たとえば、ペットを飼っている家庭が多い住宅地を商圏とする小売店は、ペット愛好家を囲い込むために、ペットフードとその他ペット用品を区別せずに「ペットケア」というカテゴリー設定で、ショッパーにとって分かりやすく買いやすい売り場をつくり、ショッパーの興味や関心を掻き立てることで需要の活性化を試みます。
ペット愛好家の購買行動を注意深く収集・理解することによって、そのインサイトを活用した「売り方」をつくることが、ペットフードやペット用品の売上・利益の向上に直結することになります。つまり、小売店の抱えるカテゴリーの目標・課題とは、小売店のマーケティング目標・課題と言い換えることができるのです。
ショッパー・ベース・デザインは、購買行動のインサイトを活用し、購買行動を操作する「売り方」のデザインという点で、まさに、小売店マーケティングの目標・課題に貢献する提案の核心となるものです。
さらにショッパー・ベース・デザインは、「戦略が店頭でどのように展開されるか」が「図案・デザイン」としてアウトプットされていくので、その提案プロセスを通して提案するメーカー側と提案を受ける小売店側との共通認識・理解の醸成、目標の共有・明確化に役立つものになります。
次ページ 「2000年代~:メーカーと小売店がWIN-WINとなる視点」へ続く
藤枝テッド和己/中井侑絵(チェースデザイン)
藤枝 テッド 和己/(株)チェースデザイン マネージング・ディレクター
2002年よりマッキャンワールドグループの(株)モメンタム ジャパンに勤務。
モメンタム ワールドワイドの国際組織グローバル・ショッパーマーケティングエクセレンス・グループの中核メンバーとして、買物客(ショッパー)を中心においたマーケティングの開発に取り組み、JTインターナショナル、コカ・コーラ、マイクロソフトといった多国籍企業のショッパーマーケティングに携わる。現在は、2013年にモメンタム・ワールドワイドが買収した、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインの日本法人のマネージング・ディレクターに就任し、多くのクライアントに、売り場で購買行動を操作する「売り方のイノベーション」のコンサルティングを行っている。
宣伝会議では、セールスプロモーション講座やメディアプランニング講座等のセミナー講師を務め、先駆的なマーケティング理論やケーススタディを紹介している。
中井侑絵/(株)チェースデザイン シニアストラテジックプランナー
(株)モメンタム ジャパンから、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインに派遣され、P&Gやスターバックスのショッパーベースデザイン・プロジェクトに参画。2014年、チェースデザインの日本法人の設立のメンバーの一人として、主にショッパー戦略の開発に従事し、クライアントに対して、ショッパーベースデザインを日本のマーケットで実践するための、様々な提案を行っている。
藤枝 テッド 和己/(株)チェースデザイン マネージング・ディレクター
2002年よりマッキャンワールドグループの(株)モメンタム ジャパンに勤務。
モメンタム ワールドワイドの国際組織グローバル・ショッパーマーケティングエクセレンス・グループの中核メンバーとして、買物客(ショッパー)を中心においたマーケティングの開発に取り組み、JTインターナショナル、コカ・コーラ、マイクロソフトといった多国籍企業のショッパーマーケティングに携わる。現在は、2013年にモメンタム・ワールドワイドが買収した、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインの日本法人のマネージング・ディレクターに就任し、多くのクライアントに、売り場で購買行動を操作する「売り方のイノベーション」のコンサルティングを行っている。
宣伝会議では、セールスプロモーション講座やメディアプランニング講座等のセミナー講師を務め、先駆的なマーケティング理論やケーススタディを紹介している。
中井侑絵/(株)チェースデザイン シニアストラテジックプランナー
(株)モメンタム ジャパンから、北米のショッパーベースデザイン・コンサルティング会社チェースデザインに派遣され、P&Gやスターバックスのショッパーベースデザイン・プロジェクトに参画。2014年、チェースデザインの日本法人の設立のメンバーの一人として、主にショッパー戦略の開発に従事し、クライアントに対して、ショッパーベースデザインを日本のマーケットで実践するための、様々な提案を行っている。
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