『知っておきたい、マーケティング・オートメーションの基礎知識』はこちら
コラム1回目ではマーケティングオートメーションに限らず、デジタルテクノロジーがマーケティング領域に急速に浸透している状況について概要を解説しました。
今回は本コラムの本題である「マーケティングオートメーションで何が可能になるのか?」について詳述していきます。
1回目のコラムで、マーケティングオートメーションが注目される理由として「もともと構想としてはあった概念がテクノロジーの進化により、実現できる土壌が整った」という環境要因、さらに「消費者接点が多様化し、マーケティング施策も複雑化する中で、それを一元的に管理できるプラットフォームが求められている」、「(B2Bに限定して言えば)SFAが浸透し、案件の抜け漏れが防げるようになったことで、そもそもの案件をいかに増やすかに企業の関心が移っていること」の3点を挙げました。
では、具体的にマーケティングオートメーションとは、どのような仕組みで、何を実現してくれるのでしょうか。下にマーケティング活動のフローを記しましたので、これに基づき説明していきます。
まず、マーケターは下図の①でカスタマーのセグメンテーションを行い、②でセグメント別のメッセージ・コンテンツを作り、③でキャンペーンのワークフローを実行します。
④ではリードナーチャリング、エンゲージメントのシナリオを実行。①〜④の過程は、⑤でリードのスコアとしてトラッキングします。⑤のスコアリングよって優先度の高い見込み顧客を判定し⑥のCRMデータ連携を実現します。
購買にまで至らなかった場合には、再度④のナーチャリングに回して、優良な見込み顧客へと育成していきます。B2Cや既存顧客を対象にしたマーケティング活動の場合であれば、⑥を「よりロイヤルティの高い顧客向けのプログラム」と置き換えれば良いでしょう。
マーケティングオートメーションとは、このプロセスを高速で回すエンジンとなるものです。
また図の中には入っていませんが、①のセグメンテーションを行うために、DMPと連携させたり、ロイヤリティの高い顧客属性のパターンが見えたら、それをDSPに引き渡し、その属性条件に基づくターゲットに広告を配信するといったマーケティングオートメーションと他ソリューションとの連携も考えられます。
自社のターゲット顧客が単一のプロファイルで、同じ”温度感”の人しかリードとして流入してこないのであれば、全員に同じメッセージを送り続ければよいかもしれません。しかし、実際のビジネスでは、様々な属性(B2Bであれば、役職・部門・業種・企業規模など。B2Cであれば、性別・年齢・趣味嗜好など)の人が複数のチャネルから、異なる温度感で接触することになります。
それぞれに適切なタイミングや頻度で、適切なメッセージを送るには人的なフォローだけでは追いつけません。
そして、「どのようなセグメント」に「どのようなタイミング」で、「どのようなコンテンツ・メッセージを送るのか」というシナリオをマーケターが作れば、その実行を自動化でき、さらに効果を検証、レポ―ティングまでしてくれるのがマーケティングオートメーションなのです。
マーケティングオートメーションは、パーソナライゼーションという概念と一緒に語られることが多いのですが、これはシナリオに基づく実行を自動で行えるようになるので、究極にはワントゥワン、そこまで至らずとも、複数のシナリオを同時に高速で実行し、検証を重ねることができるようになるためです。
“オートメーション”と言っても、シナリオを作るのは「人」。シナリオやメッセージ、コンテンツまで勝手に作ってくれるわけではありません。
下の図は、私のお客様がマーケティングオートメーションを導入して、社内のプロセスの何が変わったのかを示されたものです。仮説はあくまでも仮説であり、実行してみるまで結果はわかりません。仮説を作ることに時間をかけすぎるよりも、まずテスト的に実行し、集まったデータを基に最適化する。
マーケティング活動に正解はありませんので、後半の「テスト➢最適化」のプロセスを高速で回していくことで、より早く最適化を実現することができます。そのためのツールとして、マーケティングオートメーションのニーズが高まっているのです。
マルケト
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