ショッパー・ベース・デザイン開発ステップ
それでは、チェースデザインの提供するデート、ではなく、ショッパー・ベース・デザインを6つのステップに分けて紹介します。
第1ステージ:ショッパーへの共感、理解
商機創出の前に、まずは、プロジェクトメンバーの目的意識や現状理解を共通したものにしておく必要があります。現状を正確に理解し、問題の原因究明、課題発見、既知/未知事実の明確化、共通化、既存調査結果の検証を行います。チェースデザインでは、クライアントが既に持っている既存資料や調査結果を預かって、カテゴリーや内容の有用度によって分類したり、ショッパーを中心に据えた独自の視点で元データから整理・仕分けしたりすることで、多角的で効果的なインサイト発掘をしています。必要に応じて、小売店へのインタビューを行い、メーカーでは引き出せない小売業からのニーズを吸い上げ、プロジェクトへの理解度・関心度に応じて、有効なストーリーを組み立てていきます。
第2ステージ:購買行動の明確化
現状理解ができたら、購買行動の理解と原因の明確化、購買行動に伴うニーズや自分ごと化の明確化を行います。ターゲットとなるショッパーと消費者戦略を組み合わせ、注力すべきポイントを明らかにするのです。ここでの一番のポイントは、コモディティ化している購買行動を、より感情に訴えるエモーショナルな買い物体験へ変えるための要素を探るというところです。価格や物理的ベネフィットが購買の選択基準となっている所を、少しでも自己移入・投影できるように操作性を加えることで、ショッパーが価格以外の判断基準で商品選択を行うようになり、そこに新しい利益を生むことができます。
第3ステージ:戦略とコンセプトの開発
第2ステージで得られた、純増利益を生む新しい判断基準の可能性や仮説を実現するために、購買行動をどのように変えればいいのかといったショッパーを動かす戦略を創出します。メーカー、小売業、ショッパーの三者全員にベネフィットのあるカテゴリーや売り場戦略を生み出すことが目的です。そのために、まずターゲットショッパーの既存のディシジョンツリーを整理し、ツリーから大きく外れることのないように新しい購買を生む要素を挿入する、既存のカテゴリーを再定義するなどします。
ショッパー・ベース・デザインでは、ディシジョンツリーを左右する要因の基礎は、店舗でのカテゴリー設定と商品のレイアウト・棚割りであると考えています。そこが戦略的に設計されていない状態では、POPやデジタルテクノロジーなどの上位階層の活動で興味関心を引こうとしても、ショッパーが混乱するだけで、本来の威力が発揮されないのです。
第4ステージ:アイディアの開発
ここからは、具体的な小売店への商談を視野に入れ、成功に必要な投資とリターンを算出し、小売店の理解と協力を得るフェーズに移ります。保守的で段階的な変化を好む小売業界に対して、長期的なビジョンと現実的な方法論をパートナーとして提示するのです。たとえばチェースデザインでは、今までの経験・実績に基づいてショッパーに最も魅力的に見える売り場のプロトタイプを制作し、その小売店の実店舗で展開した場合の見え方イメージ、現状からその理想形に到達するまでの段階的な進化のイメージと大まかなタイムラインをまとめたものを提供しています。この資料があることで、社内での各部署への説明、小売店への説得や、小売店内にいる様々なステークホルダーたちとコンセンサスが取りやすくなり、プロジェクトが比較的スムーズに進行できるようになります。
第5ステージ:設計と導入
小売店の同意や協力が得られたら、テスト展開するための具体的なデザイン制作と実験店舗への導入を行います。各小売企業のトーン&マナーに合わせた仕様のアイテム、グラフィックのデザイン、フロアプランの設計を行います。後々の検証を想定し、調査の設計も視野に入れて進めます。経験とテスト機会を共有して制作物を作ることで、小売業と協力的で戦略的なパートナーシップを築く施策が可能になります。
第6ステージ:検証と確認
ショッパー・ベース・デザインは設定した仮説の検証から、効果的な成功要素の抽出を目的としていますので、テスト店舗での展開後、ショッパーの購買行動観察や店舗インタビュー、POSデータの分析などを行い、純増利益の獲得に有効な汎用性の高い要素だけを抽出します。第5ステージと第6ステージを繰り返し、検証を重ね、より濃縮された成功要素を全店舗に展開することで、高い利益率と効率の良い展開が可能になるのです。