対策を急ぐ日本のグローバル企業
このような情勢から、日本もテロの標的となった可能性が高いと認識したのは、世界中に駐在員や出張者を送り込んでいる企業の人事担当者や危機管理室などだ。万一、従業員や役員がテロに巻き込まれたり、誘拐・拘束された場合の対応の見直し、リスク回避のための行動指針の変更など、多くの企業が動き出した。
一部の企業には、誘拐・拉致等された後に必要な犯人からのメッセージを代読する本人確認の証拠保全として、海外渡航前に従業員から肉声の入ったメディアや両手10指の指紋の提出を求める企業も出始めている。
また、この種の専門家を有するグローバルな危機管理コンサルタントと契約する保険会社には、誘拐保険やテロに巻き込まれた場合の海外旅行傷害保険における特約等の照会案件が後を絶たない。但し、誘拐保険や海外旅行傷害保険は、海外において発生した事案に対して保険金の対象となるが、日本で発生した事案は対象外である。
・自分の身は自分で守るという意識変革が必要
海外に派遣される役職員の心構えについては概ね以下のとおりである。
- 安全は自分で求めるもの
- 自分の身は自分で守る
- 予防こそが最良の危機管理
- 用心を怠らない
- 行動を予知されない
- 必要以上に目立たない
- 自分の情報を必要以上に開示しない
また、以下に海外出張及び駐在員向けの個人携行用の安全マニュアルを提示しておくので参考にしてほしい。
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
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