企画制作だけでなく、企業が自走できる支援も視野に
——「コンテンツマーケティング」という言葉は、ここ1~2年で大きく広まったと感じております。そういった環境の変化も踏まえて、今後のビジネス展開についての展望はありますか?
私は、コンテンツマーケティングは突き詰めていくと「お客さまとの接点を確保すること」だと考えています。少し前の言葉で言えばCRMに近いかもしれません。つまり、「本来、お客さまに対してやらなければいけなかったことをちゃんとやりましょう」ということです。いままでのような企業本位の情報発信ではなく、お客さまがほしい、見たいと思っているコンテンツをしっかり用意して、お客さまから探してもらうのです。
現在は、クライアント企業のニーズもあって、我々がコンテンツの企画・制作を行うことの比重が高いのですが、今後は顧客データの蓄積や、ロイヤルカスタマー育成のための支援サービスも強化していきたいです。また、昨年9月にリリースした「Cloud CMO」のようなサービスもより充実させたいですね。
——つまり、コンテンツを企画・制作・提供するだけでなく、「企業自身にコンテンツ資産を掘り起こしてもらい、自走してもらう」方向の支援も重視していくということでしょうか?
そうです。今まで我々が様々な企業をお手伝いした経験から言えるのは、「企業側がしっかりディレクションすると成果につながりやすい」ということです。したがって、「コンテンツの全面的なアウトソーシング」はあるべき姿ではないと考えています。だから、将来的にはコンテンツを内製化するという前提で、その立ち上げ時の戦略の設定や、内製できる体制の構築、最初のPDCAを回すところのお手伝いができるような取り組みを模索していきます。
宗像 淳
イノーバ 代表取締役社長
1975年、福島県生まれ。東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。富士通、楽天、トーチライト(博報堂グループ会社)を経て、2011年6月にイノーバを設立、代表取締役に就任。
経済産業省「クールジャパンの芽の発掘・連携促進事業」アドバイザリーボードメンバー。