【前回の記事】「ネット通販における「売り場のコンテンツ化」とは?」はこちら
前回、ネット通販の商品ページをもっとコンテンツ化すべし…という話をしました。コンテンツとは「中身」のある情報のこと。中身があるかないかを判断するポイントは、読み手の脳に刺激を与えるか否かである、と定義してみました。
ひと昔前なら 、商品の機能を説明するだけで、コピーに「刺激」が備わった時代もあったかもしれません。
「子供用のイス」を例に挙げてみましょう。座面と足置きの位置が段階的に変えられる成長イス、身体を座面と膝で支える構造で良い姿勢が保てるバランス・チェアなど、いくつかのコンセプトのもと、それまでにはなかった珍しい「子供用の機能イス」が輸入販売され始めました。情操教育に熱心なヨーロッパの国々が開発した「発明品」である、長時間座っても疲れにくく現地の多くの小学校で採用されている、といった商品のプロフィールを紹介すれば、その情報自体が「刺激的」でした。しかし、モノや情報が溢れる今では通用しません。ほとんどの消費者たちは、そうした子供イスがあることをすでに知っているからです。
同じような理由で多くの通販商品は陳腐化し、それを単純に説明するだけのコピーはどんどん「取説化」してしまうのです。取扱説明書はあくまで商品の付随物であり、自らが情報を発信する「コンテンツ」とは言えません。
商品自体、あるいは説明コピーから消えてしまった「刺激」を取り戻すにはどうしたらいいのか? もっともオーソドックスなのは、商品コピーに「気づき」を仕込むことだと思います。
たとえば、子供イスのコピー中に「小学生の低学年時は、リビング学習の方が安心できて集中力が高まる」という専門家のアドバイスを入れてみてはどうでしょう? 続けて、「〜リビングに置く時期があるかもしれないから、居間と子供部屋の両方にマッチする素材やデザインを選ぶ」ことを記します。「リビング学習」の言葉を知っていても、そこまで気が回る人は少ないのではないでしょうか。「ヘェ、子供のイスもリビングをチェックして選ばなくちゃならないんだ!」と気づかせる、これが読み手への刺激になるのです。