コピーに「気づき」を盛り込んで、商品を記憶させる。

【前回の記事】「ネット通販における「売り場のコンテンツ化」とは?」はこちら

前回、ネット通販の商品ページをもっとコンテンツ化すべし…という話をしました。コンテンツとは「中身」のある情報のこと。中身があるかないかを判断するポイントは、読み手の脳に刺激を与えるか否かである、と定義してみました。

ひと昔前なら 、商品の機能を説明するだけで、コピーに「刺激」が備わった時代もあったかもしれません。

「子供用のイス」を例に挙げてみましょう。座面と足置きの位置が段階的に変えられる成長イス、身体を座面と膝で支える構造で良い姿勢が保てるバランス・チェアなど、いくつかのコンセプトのもと、それまでにはなかった珍しい「子供用の機能イス」が輸入販売され始めました。情操教育に熱心なヨーロッパの国々が開発した「発明品」である、長時間座っても疲れにくく現地の多くの小学校で採用されている、といった商品のプロフィールを紹介すれば、その情報自体が「刺激的」でした。しかし、モノや情報が溢れる今では通用しません。ほとんどの消費者たちは、そうした子供イスがあることをすでに知っているからです。

同じような理由で多くの通販商品は陳腐化し、それを単純に説明するだけのコピーはどんどん「取説化」してしまうのです。取扱説明書はあくまで商品の付随物であり、自らが情報を発信する「コンテンツ」とは言えません。

商品自体、あるいは説明コピーから消えてしまった「刺激」を取り戻すにはどうしたらいいのか? もっともオーソドックスなのは、商品コピーに「気づき」を仕込むことだと思います。

たとえば、子供イスのコピー中に「小学生の低学年時は、リビング学習の方が安心できて集中力が高まる」という専門家のアドバイスを入れてみてはどうでしょう? 続けて、「〜リビングに置く時期があるかもしれないから、居間と子供部屋の両方にマッチする素材やデザインを選ぶ」ことを記します。「リビング学習」の言葉を知っていても、そこまで気が回る人は少ないのではないでしょうか。「ヘェ、子供のイスもリビングをチェックして選ばなくちゃならないんだ!」と気づかせる、これが読み手への刺激になるのです。

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向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)
向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)

通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。

向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)

通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。

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