既存のアイドルの仕組みに限界を感じていた
濱野:去年の6月に「プラトニクス・アイドル・プラットフォーム」、略してPIPというアイドルグループを自分でつくりまして。まぁ、「なぜつくったのか?」と聞かれると思うのですが、これは色々な理由があるのですが…。1つはAKB48もそうですが、他のアイドルグループを含めてちょっと限界というか、ブームの陰りって言い方をしてもいいんですけど。
権八:既存アイドルの限界ということ? 仕組みというか?
濱野:そうですね、 “芸能界におけるアイドル”は陰りがくるか、こないかは別として、勝手にやっていてくれていいと。そうではなくて、芸能以外でももっとアイドルは使えるというか、拡張できるというか。
中村:拡張できる?
濱野:アイドルの面白いところって、ほとんど宗教的信仰に近づいていくので、ファンの人が凄く応援してくれるんですよね。その人の夢を叶えるために。でも、その夢が芸能界で女優になって売れることだけだと、そんなことを実現できる人って数人じゃないですか。
澤本:確かにね。
濱野:無理感がある。そうではなくて、もっと別の夢を抱えている子を応援するっていう構図でもアイドルは成り立つんじゃないかと思って。人が人を応援するスキームというか、枠組みとしてアイドルというものがあって、色々なアイドルが色々な道を目指すみたいな活動ができるのではないかと思って。
中村:それは面白いですね。
濱野:そういうことも過去に評論で書いていたんですが、もちろん書いたぐらいじゃ誰もやってくれない。待っていてもアイドルをつくっている人は大半が芸能事務所の方なので、それ以外のことは普通はやりませんよね。当然そっちで既にビジネスが成り立っているわけですから。じゃあ、自分でやるかと。
中村:それはツイッターとかで、「やるぞー!」って宣言したんですか?
濱野:いえ、最初はたまたま私の知り合いがはじめるということで相談されていたんです。ぼくは相談には乗るぐらいの感じだったんです。でも、話している内にどんどん色々なアイディアが浮かんじゃって。よし、自分でやるか、みたいな。
権八:でも、芸能じゃないアイドルというか、いわゆるソロになって、女優になってみたいな夢ではない夢というのはどんな夢なんですかね?
濱野:それはアイドル本人次第でよくて。と言いながら、今やっているPIPは普通の芸能的なアイドルなんです。だって歌って踊る線は譲れないから。むしろ、その子たちがアイドルを卒業した後ですね。アイドルオタク界ではセカンドキャリア問題というか、やめた後のセカンドキャリアをどうするんだという問題がありまして。女優や歌手になりたくてもなれなかった子って無数に出てくるわけですよ。
澤本:そうですよね。元AKB48の子が脱いだみたいな話もありましたよね。
濱野:それ最高…、じゃなくて最悪の…(シドロモドロに)。
権八:どっちですか笑!?
濱野:今ちょっと私の無意識が出たのかもしれません笑。いえ、すみません、最悪です、最悪。そういうキャリアに陥らないためにどうすればいいか。問題意識と言いますか。
澤本:じゃあ、そのあたりをご本人たちに聞いてみましょうか。よろしくお願いします。