ローカルテレビ局はどう生き残るのか?地元に密着する岡山放送に新しいカタチを見た

さらに驚きなのが、岡山放送はイオンモール岡山の、この建物の中にあります。去年12月にイオンのオープンと同時に、ここに引っ越してきたのです。いや、正確に言うともともとの場所に本社機能は残しつつ、制作や報道、編成などの現場部隊が、このイオンの6階に移転してきました。その上、5階にはなんと、スタジオもあります。午後4時から月金ベルトで毎日『なんしょん?』という情報番組をイオンの中にあるスタジオから放送している。

私がいる間に4時を過ぎたのでスタジオの前に行ってみると、人だかりができています。イオンのお客さんが、放送中のスタジオを見ているわけですね。

さすがに放送中のスタジオの中まで見えるような撮影は禁止されているので、この写真からどれくらい臨場感が伝わるかわかりませんが、かなり衝撃を受けました。常設のスタジオが一般の人に丸見えの状態!もちろん、一部のコーナーだけとか、一時的にイベントの際などでは他でもあると思いますが、ほぼ1時間丸々、毎日ここから放送しているのです。岡山放送は市の中心部から少し離れた場所にあったので、いきなり人びとの中に放送が入り込んだような状態。

そしてこの『なんしょん?』はHaremachi TVでも同時配信されています。地上波放送を館内でも配信しているのです。先ほどの300インチの巨大モニターや、52台のモニターで、いま放送されている番組が流れている。見ていると不思議な気持ちになります。でもよく考えてみたら、街角のラーメン屋に置かれたテレビをお客さんが眺めたり、サッカーの試合をお店で大勢で見るのと同じと言えば同じ。それをもっと大々的に戦略的に行っているだけです。でも新鮮。いままでにない感覚が味わえます。(ただ、館内では流していますが、ネットのほうでは流していません。さすがに手続きが大変になるそうで。)

6階のオフィスにも行ってみました。これがまた面白い。オフィスの中がガラス越しに見えます。中が見えちゃうテレビ局ってのもなかなかないですよね。このガラスは特殊で、操作すれば外から見えないようにもできるそうなので、緊急時など機密保持が必要になったら対応できるとのことです。

次ページ 「“地域密着”のひとつの解答」へ続く

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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