販売員はプロではなく、永遠の初心者であれ
文芸本は興味あるけどほとんど読まないスタッフに、コミックはマニアックなやつにも手を出したいと思ってはいるけどそこまでどっぷりつかっていないスタッフに、などなど、どんどん担当を割り当てた。なぜ、あえて、そんな知識があるようなないようなスタッフたちに品揃えを担当させていたかというと理由がある。
それは、私がターゲットとして想定していたお客様のイメージに彼らがより近かったからだ。販売の素人は過去の経験則がない分、お客様の反応をじっくり見て、リアルな感覚を頼りに売場を作っていく。啓蒙主義的な上から目線で押しつけがましい提案をしていくのではなく、お客さまに友達感覚のようなスタンスで半歩先の商品提案をすることができる。
私は、店員が一消費者の感覚を持って、お客様と一緒に楽しむことで本当のニーズに沿うことができるはずだと考えた。それを実現できれば、まるでお客様が自分で品揃えしているかのような売場が作られ、それが有機的につながったとき、最高にリアルでお客様の写し鏡のような店ができ上がる。
目指すべきバイヤーとは、業界のルールを熟知している人間とかではなく、常識という名のバイアスを持たずに、常にお客様から学ぶ姿勢を持ちつづけられる店員ではないかと思う。担当を振り分けられたスタッフたちは、ピュアな目線でより良いと思う方法を、トライ&エラーを繰り返しながら日々探り続ける。でき上がったものが、常識人から見るとかっこ悪いものであったり、奇抜なものであったりしても構わない。逆にそのくらいの方が人間味があってちょうどいい。
スタッフひとり一人が自分の仕事に誇りを持って、楽しくやれて、その結果が売上につながる。そんなやり方を貫きたい。もしかしたらヴィレヴァンが他の小売店と一味違って見えるのは、「仕組みとして素人感覚を活かし続けているから」なのかもしれない。
次回は、ヴィレヴァンの売場の編集術についてお届けします。
関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)
関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)
ヴィッジヴァンガード営業企画部リーダー。1999年ヴィレッジヴァンガード下北沢店に勢いで「入社したいんですけど」と言ってしまう。清貧の思想で薄給に耐えながらも、下北沢で文化発信の一端を担う。
その後「3カ月以内に売上改善できなければ閉店する予定だから」と言われながら横浜ワールドポーターズ店で店長デビュー。馬車馬のごとく働いて3カ月後には全国最下位の店舗を全国トップへ。ここでだいぶ寿命が縮まる。以後、仕事のブレーキが壊れたまま、下北沢店店長、自由が丘店店長をはじめ、主要首都圏店舗の店長を歴任する。
2006年から首都圏のエリアマネージャー、2011年震災後、東北エリアマネージャー。現在、本部にて、ヴィレッジヴァンガードのノウハウをまとめるプロジェクトのリーダー。最近では、他社の企業内研修やイベントでのPOPライティングセミナーの講師も務める。
ウェブサイト http://www.village-v.co.jp
Twitter https://twitter.com/vgvd
Facebook https://www.facebook.com/VillageVanguardOnline
関戸康嗣(ヴィレッジヴァンガード 営業企画部リーダー)
ヴィッジヴァンガード営業企画部リーダー。1999年ヴィレッジヴァンガード下北沢店に勢いで「入社したいんですけど」と言ってしまう。清貧の思想で薄給に耐えながらも、下北沢で文化発信の一端を担う。
その後「3カ月以内に売上改善できなければ閉店する予定だから」と言われながら横浜ワールドポーターズ店で店長デビュー。馬車馬のごとく働いて3カ月後には全国最下位の店舗を全国トップへ。ここでだいぶ寿命が縮まる。以後、仕事のブレーキが壊れたまま、下北沢店店長、自由が丘店店長をはじめ、主要首都圏店舗の店長を歴任する。
2006年から首都圏のエリアマネージャー、2011年震災後、東北エリアマネージャー。現在、本部にて、ヴィレッジヴァンガードのノウハウをまとめるプロジェクトのリーダー。最近では、他社の企業内研修やイベントでのPOPライティングセミナーの講師も務める。
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