三井住友カードのデジタルマーケティングを支える組織とは?(上)

【特集】デジタル化したマーケティングで競合優位を実現するための組織と仕組み~最適な個客エクスペリエンスを実現するために~

三井住友カードは、2012年から2013年にかけてAdobeのソリューションを導入し、トップページやカード入会サイトのリニューアルなど、データに基づいた仮説の組立てやテストの実施を行い、積極的にデジタルマーケティングに取り組んでいます。
今回は、三井住友カードのデジタルマーケティングを支える、ネットビジネス事業部 佐々木丈也部長に、デジタルマーケティング躍進の裏側にある、組織にあった出来事や考え方について聞きました。

聞き手:アドビシステムズ グローバル サービス統括本部 コンサルティング サービス本部 DMSコンサルティング部 安西 敬介 氏

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アドビシステムズ
グローバル サービス統括本部
コンサルティング サービス本部
DMSコンサルティング部 安西敬介氏

ネットビジネス事業部について

現在、同社のネットビジネス事業部ではオンラインでの新規会員獲得や既存会員のリテンション強化などの「顧客基盤の拡充」や、ネットとリアルの融合をはじめとする「新事業領域の開拓」などを中心に行い、なかでも分析やテストの実施などアクセス解析に関することはマーケティンググループの特にWebマーケティングチームが担っているそうです。最近では、関係部門への改善の提案や、必要に応じてツールのトレーニングなどもこのチームで行っています。

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ツール導入時には、このチームはまだ存在せず、アクセス解析を行っていたのは非専任で1名だけだったそうです。現在では2段階のチーム編成を経て、マーケティンググループの1チームとして4名体制でサイトの運営にデータを利用することを推進しているそうです。

まずは、このWebマーケティングチームのあり方やツール導入後の変化について聞きました。

組織の変化について

――現状の組織体制を見ると、2年前から徐々に中央組織化が進んでおり、Webマーケティングにおいてネットビジネス事業部がCenter Of Excellence(CoE)になりつつあると感じます。

佐々木:まだ、CoEというには恐れ多いです(笑)。ただし、CoEとしての役割を担うことの重要性は強く感じております。当社の事業ドメインの拡大のために、デジタルデータの分析を行い、分析に基づくアクションプランを策定するなど、組織横断的な横串のサポートが重要だと感じています。

――ツールを導入した前後で、組織はどのような変化があったでしょうか?

佐々木:元々は過去の経験と勘に頼っていた部分に、データ重視型のテストマーケティング施策をAdobeさんにサポートしてもらったのをきっかけに、データに基づいたプロモーション施策やWebページのリニューアルにチャレンジできるようになりました。その成果が出つつあるのが、今の状況と考えています。

――組織としてもビジネスとしても非常に良い方向に進んでいるのですね。

佐々木:結果につながってきていることで、チームのモチベーションが非常に上がりました。このモチベーションの向上により、さらに次にやるべきことが見えるようになってきて、結果として当事業部のマーケティングチームが主体で関係部門の課題を吸い上げて、プライオリティを付けて施策を実施していく形になってきています。

まだ、リソースが限られていますが、プライオリティを付けて、やれることを広げていき、そして、このプライオリティ付けやPDCAをまわしていくために、取得しているデジタルデータを更に深く理解していくことが重要と考えています。

――関係部門との仕事の回し方も変わってきましたか?

佐々木:PDCAという言葉はもちろん理解はしていましたが、それを実際に細かく実践しているかと言われると…(笑)。PDCAを実践するために、ナレッジをアーカイブし、それを関係部門に共有し、各部の理解を得ることが当事業部の役割だと考えています。

以前の当部は、関係する部署が作った施策シナリオをそのまま実施するだけでした。しかし、Webサイト内の行動履歴を見ていくことで、関係部署が気づかないポイントを発見し、各施策にフィードバックできるようになってきました。

――関係部署との関係が受け身であったところから、働きかけができるようになったのですね。

佐々木:まさにその通りです。

――非常に大きな変化だと思うのですが、この変化のターニングポイントはどのようなものだったのでしょうか?

佐々木:ツールを導入後、改革の第一歩として実施したWebサイトのトップページのリニューアルが大きなポイントだったと感じています。

それまでのトップページは自社の営業的なニーズを優先させ、ユーザーが何を求めているかという目線が不足していました。これを顧客行動のデータを通し、これまで我々の感覚で「良いであろう」となっていた部分の改革に乗り出したことで、目的ページへの到達率の向上、直帰率の低下といった成果として現れました。

これまで勘に頼っていたWebサイトの改修から、データを裏付けとした仮説やテストの結果に基づいて、改修を進めることの必要性に気づいた、というのが一番のターニングポイントになっているのかもしれません。

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