企業活用は様々な観点から活用可能
いうまでもなくECFの活用の意義は展開する資金の調達にあるのであるが、最近資金力のある企業で違う目的で利用する事例が増えてきているという。前出の左の図はMakuakeの資料より抜粋したものだが、同社の坊垣氏によると特に最近増えてきている事例は「商品PRやテストマーケティング」であるという。例えばプロトタイプは作ったが販売に向けた投資をする価値が立証できないケースでは、ECFを通じて需要を検証することができる上に新しいコンセプトなどあればPR効果もできるので、活用されるケースが多いということである。また、ECFで需要を確認できることにより「取り扱いたいという業者が出てきたり、銀行融資を受ける際の実績づくりになることもある」ということである。
Markting 4.0:自己の実現を達成するのがECFか?
筆者はクラウドファンディングには注目していたものの、正直ここ数年は紹介することをためらっていた。というのもクラウドフラウドファンディングは一般より広く資金を集めるために悪用すればできなくないことや、法的な規制にかかる可能性があるためだ。しかし、最近では支援に対する見返りが明確なECFが普及してきており、また優良な審査を実施する業者も多数出てきており、あくまでも自己責任が原則ということであるものの紹介するに足る業界に育ってきたのではないかと感じている。
また、ECFは消費者が主体的に商品の開発や流通に参加できる手法としてこのコラムで以前に紹介したMarketing 4.0:参加者が企業と一緒に自己実現をする仕組みの一つではないかと考えているからである。消費者が欲しいと思う新製品に支援して、出てきた商品を消費しそのファンとなりアンバサダーとなり広げてゆく構造こそすべてのステークホルダーを満足させるMarketing 4.0の仕組みではないかと考えている。そこで筆者は2月14日、教授を務める事業構想大学院大学で特別講座を実施したところ、多数の学生の参加により予定時間をオーバーする非常に活性化された議論や交流が展開されたのでその手ごたえをより実感している次第である。
また、前述のコラムをきっかけに発足し、2月23日にメンバーが1000人を超えた次世代マーケティングプラットフォーム研究会でも、3月12日に上記3社に先日「電通報」にも掲載されたREADYFORの米良はるかCEOを含めた4社を招聘し第三回総会を実施するので、そこで発表される事例などを参考に自社のマーケティング活用にクラウドファンディングの導入を検討したいという方は是非参加をご検討いただきたい。